(※写真はイメージです/PIXTA)

晩婚化や高齢出産が進む現代において、子どもの「教育費」と親の「老後資金」のピークが同時に押し寄せる家計の二重苦に直面する家庭が増えています。子どもの想いを応援したいという一心が先行して無理な資金排出を続けてしまうと、将来的に親世代の老後資金が枯渇し、かえって子どもに経済的な負担を残すリスクをはらんでいます。本記事では佐藤さん(仮名)の事例とともに、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が晩婚家庭に潜むリスクと防衛策について解説します。※本記事は実話をベースに構成していますが、プライバシー保護のため、個人名や団体名、具体的な状況の一部を変更しています。

高齢出産のマネープラン上の影響…「教育費」と「老後資金」の二重苦

厚生労働省の「令和6年人口動態統計月報年計」によると、45歳以上で出産した女性の数は、ここ約40年間で約7倍に増加しています。昭和60年に45歳以上で出産した人はわずか245人でしたが、平成7年には414人、平成17年には598人と徐々に増加しました。さらに、平成27年には1,308人と1,000人の大台を超え、直近の令和6年では1,733人に達しています。

 

晩婚化や高齢出産が増えるなか、佐藤さん夫妻のように「教育費」と「老後資金」の問題を同時に抱えることになる家庭は珍しくありません。

 

一般的に“人生の三大資金”と呼ばれるのは、「教育資金」「老後資金」「住宅資金」です。しかし、子どもを授かる年齢が遅くなると、そのうちの二つが同時に押し寄せてきます。もし三つ目の住宅ローンも完済できずに残っている場合は、さらに毎月の返済負担まで加わるため、家計はより深刻な事態に陥ってしまいます。

 

もちろん、「子どものためにできる限りのことをしたい」という親心は素晴らしいものです。しかし、現実的な資金計画を無視してしまうと、最終的には親の資金が枯渇し、かえって子どもに経済的な苦労を掛ける結果になりかねません。

 

こうした事態を防ぐのに重要なことは、まず収入と支出を見える化し、「今後、どのようなイベントにどれだけのお金が必要なのか」を把握することです。

 

たとえば教育費。親だけですべてを抱え込む必要はなく、奨学金制度を活用するのも有効な手段でしょう。大学進学率の高まりや学費の高騰、さらには都心の物価高による家賃の負担など、“見えにくい支出”が親世代の老後を圧迫しているのも紛れもない事実です。特に大学院の博士課程ともなれば、将来の本人の収入が高く見込め、優れた研究成果による返還免除制度なども用意されています。低金利で利用できる貸与型や給付型を組み合わせて本人が借り受けることで、親の老後資金をこれ以上削るリスクを回避できます。

 

また、佐藤さんのように70歳を過ぎても働き続ける気力と健康がある場合は、公的年金の「繰下げ受給」を検討する余地も。受給開始を遅らせることで年金額を増やせる制度であり、長寿リスクへの備えとして有効な場合もあります。

 

「子どものため」と「自分たちの老後」のバランスを冷静に考え、現実的な資金計画を立てましょう。ライフプランを早めに見える化し、「どこまでを親が負担するのか」を家族で共有しておくべきです。

 

教育費も老後資金も、“感情”だけではなく、想いを無理のない形で実現するための”具体的な数字”で考えることが大切なのです。

 

 

小川 洋平

FP相談ねっと

ファイナンシャルプランナー

 

 

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