「このままじゃ駄目だ…」投資と家計を見直し
限界を感じた加藤さんでしたが、「投資をやめる」という選択は思いとどまりました。それでは、当初抱えていた“この先への不安”の解決にはならないからです。
加藤さんは、上がったタイミングでNISAでの保有額を100万円にまで縮小。残りは毎月1万円ずつの自動積立に変更し、スマホから証券会社のアプリを削除したのです。
「毎週土曜日に1回だけ見ることに決めました。それでも、つい見たくなるんですが……少しずつ癖をつけていかないとね」
投資額が大きすぎて「もし大暴落したら」という不安に囚われてしまった加藤さんでしたが、100万円は「精神的に耐えられる、自分にとっては絶妙な金額」と語ります。
あわせて生活費も見直したといいます。「節約は自分の意志でコントロールできますから。何も手を出せない投資の暴落に怯えるストレスより、よっぽど気楽です」と加藤さんは笑います。
老後は「大きく増やすこと」より「安心して続けられること」を優先する
シニア世代の投資は、若い世代とは違い、「大きく増やすこと」よりも「安心して続けられること」が何より大切です。
しかし、早く増やしたいと焦るあまり、リスク許容度に合わない金額を投じたり、個別株などで“博打”のような投資をしてしまうケースは少なくありません。新NISAの“つみたて投資枠”は選定基準が厳しい一方で、“成長投資枠”は幅広い商品から選択できます。その分、慎重な選択が求められます。
加藤さんが選択した米国株ファンドは実績があり、優良企業に広く分散投資されているため、比較的安定した値動きが期待できるものです。とはいえ、投資に100%はありません。仮にリーマンショックのような大暴落が起きた時、シニアの場合は現役世代のように「リカバリーまで10年待つ」という時間が残されていない可能性も考慮する必要があります。
とはいえ、預金だけでは物価上昇に対応できないのも事実です。だからこそ、自分の性格や年齢、そして生活状況に合わせて「ハラハラしない、放っておける範囲」で無理なく資産を分けていくことが、老後を穏やかに過ごすための現実的な選択といえるでしょう。
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