「働かなくていい」のに不安…男性が感じた“静かな現実”
地方生活が落ち着いたころ、高橋さんはある違和感を覚えるようになります。
「今日、誰とも話してないなって日が増えたんです」
人間関係のストレスから解放された一方で、仕事を辞めると、社会との距離が一気に遠くなった感覚もあったといいます。
近所付き合いは最低限。友人は都内。平日の昼間、スーパーへ行くと、高齢者ばかりが目に入ります。
「自由って、思った以上に孤独でした」
加えて、将来への不安も完全には消えませんでした。
資産はあるとはいえ、42歳という年齢は“老後”にはまだ遠い。物価上昇や相場下落が続けば、想定通りにいかない可能性もあります。
金融庁も、長期・積立・分散投資の重要性を示していますが、将来の生活費や市場環境を完全に予測することはできません。
高橋さんは今も、資産運用を続けながら、時々Web系の単発仕事を受けています。
「完全リタイアっていうより、“働き方をかなり軽くした”感覚に近いです。会社を辞めたこと自体は、本当に良かったと思っています」
ただ、“毎日が自由で幸せ”というイメージとも違ったといいます。
「結局、“仕事を辞めれば人生が完成する”わけではなかったんです」
最近は、畑を借りて野菜を育て始めました。収穫したトマトを手にしながら、高橋さんは少し笑います。
「“今日をちゃんと生きている感じ”は、今の方があるかもしれません」
FIREは、“働かなくて済む人生”ではなく、“どう生きたいかを自分で決める人生”なのかもしれません。その自由は、時に不安や孤独も伴います。
それでも高橋さんは、満員電車に揺られていた頃より、今の静かな暮らしの方が自分には合っていると感じているといいます。
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