「守る」から「使う」へ。億り人が踏み出した小さな一歩
中村さんは、増えるお金を見続けるだけだった現状から、一歩踏み出しました。まず、長年住んだ木造アパートを出て、同じエリアで駅近・築浅の賃賃マンションへ。家賃は7万8,000円から14万5,000円と、ほぼ倍増です。
「最初は、こんな高い家賃の家に住むなんて、贅沢すぎて緊張しました(笑)。でも、綺麗な部屋は快適。料理しやすい広い台所に風呂場。『お金で快適さを買う』という意味が、初めてわかりました」
さらに、食生活も変えました。これまでは見切り品の弁当ばかりでしたが、週に数回はあえて少し良い定食屋に入ったり、お惣菜を買ったりと、食事の時間を楽しむ余裕を持つようにしたといいます。
一方、早期リタイア(FIRE)の選択肢は完全になくなりました。
「以前は、FIREについて考えることもありました。ですが、今は職場の人間関係がありがたい。もし会社を辞めて一人ぼっちになったら、社会との接点が完全に消えてしまう。僕にとって仕事は、生活費を稼ぐためではなく、社会と繋がり、自分が生きていることを知ってもらう命綱みたいなものなんです」
一般社団法人日本少額短期保険協会「第10回孤独死現状レポート(2025年12月)」における孤独死の割合は 男性83.3%、女性16.7%。65歳未満の孤独死者が46.1%となっており、孤独死は決して高齢者だけの問題ではなく、現役世代にとっても身近なものだということがわかります。
※少額短期保険会社の保険金支払い累積データ(n=12,105人)による分析
今の目標は、万一の時に頼り合える「友達づくり」。とはいえ「40代ですからね……自分にとっては、どんなことより難しい。こればっかりは叶うかどうか」と笑います。それでも、外の世界に目を向け始めた中村さんの表情は、以前よりも明るくなっています。
資産額は単なる「手段」…人生を動かすのは「使う力」
多くの人が将来への不安を抱える現代において、中村さんが20年かけて1億円という資産を築き上げたことは、並大抵の努力でできることではありません。
コツコツと資産を増やす過程そのものが、彼にとっては人生の大きな充実感であり、生きがいでもあった。もちろん、それ自体は決して悪くありません。ただ、いくら通帳の数字が増えても、それと引き換えに経験や人とのつながりを削ぎ落としてしまっては、本末転倒になりかねません。
お金の真の価値は、貯め込んだ額の大きさではなく、それを使って「どれだけ豊かな時間を過ごせたか」にかかっているのではないでしょうか。
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