「合理的に働く」とは?
日々の業務において、「合理的に働く」とはどういうことか。
「ルーティンワーク」の誤解
少し話が横道にそれるが、日常的に繰り返される定型業務をルーティンワークと呼んだりする。しかし厳密に言うと、その用語の使い方は間違っている。
そもそもルーティンという概念は、コロンビア大学のリチャード・ネルソンとシドニー・ウィンターが著した『経済変動の進化理論』から来ている。彼らは、「ルーティンは繰り返し行われることだが、状況によって変化する行動パターンである」としている。つまり、本来の意味でのルーティンとは、変化が前提なのだ。
変化を前提とせず、同じ作業を、同じやり方で繰り返すことほど、非合理な働き方はない。必要なのは「安定」ではなく「進化」である。同じ作業を繰り返すにしても、そのやり方はより効率的になっていかなければいけないし、状況の変化にも柔軟に対応していかなければならない。
たとえば、小学1年生の漢字ドリルを勉強したとする。そのドリルをひたすら繰り返すだけでは、永遠に小学6年生の漢字は覚えられない。小学2年、3年、4年と進化していくから、やがて小6の漢字に辿りつくのだ。小1の漢字ドリルをやっているだけでは、いつまでたっても小6レベルの本は読めない。
典型的な日本の労働環境というのは、小1のドリルを永遠にやっているようなものだ。10年前と同じような商品を、同じように売って、同じような売上を上げているのだとしたら、その会社は小1のドリルをずっと繰り返しているのと同じである。だから進化もしないし、退屈なのだ。あなたはこれまで働いてきて、何か新しいものを生み出したか? 売上を10年前に比べて圧倒的に上げたか?
“できなかったこと”を定期的にチェックし、都度改善していく
合理的な働き方として常に意識すべきなのは、その仕事により「事業改善」もしくは「生産性向上」が果たされているかという点である。同じ作業を繰り返すだけの「ルーティン」を排除し、あらゆる仕事はPDCAを回すことだと考えよう。行動内容を設計して(Plan)、実施し(Do)、成果のチェックをして(Check)、改善する(Action)。これを行うことが「合理的に働く」ということなのだ。
たとえば、売上目標1億円を達成する行動計画を立て、それを1か月実践し、結果として5000万円しか売上を出せなかったとする。月に一度の定例会議で、売上を達成できなかった原因をチェックし、改善点を見つけて来月の行動を変えていく。
つまり、自分が「できなかったこと」に着目し、それを定期的にチェックして、その都度改善していくことが「PDCAを回す」ということだ。「できたこと」の中に、重要な課題は存在していない。「できなかったこと」に注目し、それを改善していくから生産性は向上するのである。すなわちPDCAとは、「減点思考(※)」に基づくフレームワークだと言える。
※何かを評価するとき、「足し算」ではなく「引き算」によって、物事の真実を見極めていく思考法。対象が人であれ企業であれ、まずは「100点」であるという前提でスタートする。

