遺品整理で見落とされる「昭和世代の価値観」
遺品整理では、「とにかく早く終わらせたい」という心理が働きやすいものです。特に近年は、遠方に住む親の実家整理や賃貸住宅の退去期限、仕事や介護との両立などが重なり、「まとめて処分」を選ぶケースも珍しくありません。
一方で、昭和世代の家庭には、本人すら価値を把握していなかったモノが残されていることがあります。たとえば、今回のように廃盤となった食器や記念硬貨、切手、古い贈答品などです。
ただ、本質は「高値で売れるか」だけではありません。高度経済成長期前後に結婚した世代には、「いいものを長く使う」「来客用は普段使いしない」「もったいないから取っておく」という価値観が色濃く残っています。
そのため、本当は大切にしていたモノほど、使わずにしまい込んでいたケースも少なくありません。子ども世代からみれば“古い食器”でも、本人にとっては結婚当時の記憶や、人生の節目そのものだった可能性もあるのです。
遺品整理で後悔しないために…FPが勧める「一度立ち止まる工程」
遺品整理では、時間にも気持ちにも余裕がなくなりがちです。そのため、「不要そうだから処分」という判断をしてしまうこと自体は、決して珍しいことではありません。
ただ、後悔を減らすためには、“一度立ち止まる工程”を入れることが大切です。たとえば、食器や貴金属、記念品、古銭、時計など、ジャンルごとにわけて確認するだけでも違います。
最近では、遺品整理と簡易査定の両方に対応する業者もあることをご存じでしょうか。すべてを自力で調べる必要はありませんが、「これは本当に処分していいのか」を一度確認するだけでも、見落としを防ぎやすくなります。
また、整理前に写真を残しておくこともお勧めします。あとから価値に気づいた場合でも、型番や特徴を確認しやすくなるためです。
なお、遺品のなかには、古い定額貯金の証書や、存在を忘れていた預金口座、株式関係の書類、保険証券などが含まれているケースもあります。特に昭和世代では、株券電子化以前の書類がそのまま残されていることもあり、「価値がない紙」と思い込んで処分してしまうケースもゼロではありません。通帳・印鑑・保険証券などは、相続手続きに直結するものも多く、必ず中身を確認してから判断することが大切です。
「どうせ財産はない」という思い込みが、思わぬ見落としにつながることもあります。遺品整理で見落とされるのは、必ずしも“高額資産”だけではありません。故人がどんな思いで持ち続けていたのか――その背景ごと、処分してしまうこともあるのです。
急いで片付けたくなるときほど、一度だけ立ち止まってみる。その時間が、後悔を減らすことにつながるのではないでしょうか。
三原 由紀
合同会社エミタメ
代表
【注目のセミナー情報】
【短期償却】5月27日(水)オンライン開催
《所得税対策×レバレッジ投資》
インフラ活用で節税利益を2倍にする方法
【資産運用】5月30日(土)オンライン開催
「金(ゴールド)価格」は今後どうなるのか?
インフレ・増税時代を乗り切る“資産防衛術”
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

