ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
世界の税金はどうなっているのか 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
矢内一好(著)+ゴールドオンライン(編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
中東情勢緊迫でも、株価は底堅い
米国とイスラエルがイランを攻撃し、イランが反撃して1ヵ月以上が経過しました。原油価格はある程度上昇しましたが、ロシアのウクライナ侵攻の時を下回っています。日米とも株価は乱高下しましたが、原稿執筆時点(4月16日)では史上最高値を伺う勢いです。
攻撃当初は「米国とイスラエルが圧勝し、戦闘は短期間で終結する」という見方が有力だったのかもしれませんが、その後、戦闘が長引くにつれて「紛争が長期化しかねない」という見方も増えてきたように思います。
筆者は国際政治等に詳しくないので、米国とイランの和平合意が成立するか否かを予想することはできません。そこで、2つのケースに分けて考えてみたいと思います。
リスクシナリオ① 和平合意成立でも、タイムラグを経たインフレが株安要因に
まずは小さなリスクのシナリオです。仮に短期間で和平合意が成立したとしても、すでに1ヵ月半の間、ホルムズ海峡が事実上閉鎖されていたわけですし、中東諸国の石油関連施設も攻撃されて傷んでいます。したがって、当分の間は石油不足、ナフサ不足等に悩む国が多数となるでしょう。
日本については原油備蓄などもあり、直接的な影響は限られているという見方もありますが、たとえば「ナフサ不足で東南アジアの部品工場が止まってしまい、日本が部品を輸入できないがゆえに、日本国内の組み立て工場も止まってしまう」といった事態も懸念されます。
新型コロナの初期に中国で便器の生産工場が止まってしまい、日本国内の完成した住宅が引き渡しできなかった、という話がありました。それを聞いた筆者は「サプライチェーンの一部が止まると全部が止まる」ということを改めて認識したものですが、今回も同様のことが大規模に生じるかもしれません。
そうなると、供給不足となる品目が増え、価格が上昇するかもしれません。品不足が増えると「売り切れる前に買っておこう」という動きが広がり、品不足が加速してしまうリスクもあります。石油ショック時のトイレットペーパーや新型コロナ時のマスクが売り切れたのと同様の現象が大規模に生じるリスクがあるわけです。
そうなると、物不足からインフレになります。インフレになれば日銀が金融を引き締めるでしょうから、株価へのマイナスの影響は大きなものとなりかねません。部品が入手できずに操業停止に追い込まれる企業が増えれば失業が増加するでしょう。それも「スタグフレーションの懸念」として株価には大きなマイナスとなりかねません。ホルムズ海峡が事実上封鎖されてからインフレになるまでには比較的長いタイムラグがあるかもしれませんから、和平合意が成立したとしても、当分の間は株価下落リスクを意識しておいたほうがよさそうです。
なお、筆者は詳しくありませんが、米国が和平に応じたとしても、中東地域の安定がもたらされ、それが持続するのか否か、といった懸念を持っている人もいるようです。そうなれば、次に記す大きなリスクのシナリオに近い将来が待っているかもしれません。
