子どもや孫と近くで暮らす老後——一見「幸せそうで羨ましい」と思われがちですが、距離が近すぎることで、想像以上の負担を抱えてしまうケースも少なくありません。娘一家が近所に引っ越してきたことで生活が一変し、「こんな老後を望んでいたわけではない」と感じるようになった68歳夫婦の、思い切った決断とは?

距離が戻してくれた、夫婦の時間

内閣府による令和2年度「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」では、高齢者が望む子どもや孫とのつきあい方について、以下のような結果が出ています。

 

【子どもや孫とのつきあい方に関する調査」

・子どもや孫とは、いつも一緒に生活できるのがよい 18.8%
・子どもや孫とは、ときどき会って食事や会話をするのがよい 56.8%
・子どもや孫とは、たまに会話をする程度でよい 10.4%
・子どもや孫とは、全くつき合わずに生活するのがよい 0.7%
・わからない 8.8%
・無回答 4.5%

 

半分以上の割合を占めたのが、「ときどき会って食事や会話をするのがよい」という選択肢。多くの人にとって、近すぎず遠すぎず、無理のない距離感が望ましいということでしょう。

 

リタイア後の世代にとって、「時間がある=余裕がある」と見なされがちです。けれど実際には、体力も生活のペースも、現役時代とは大きく異なります。また、お金の負担増も年金暮らしにおいては深刻です。

 

美代さん夫婦の選択は、一見すると冷たく見えるかもしれませんが、距離を取ることは、関係を守るための手段でもあります。

 

夫婦が引っ越した後、孫たちに会うのは週末や、予定を決めたときだけ。静かな生活を取り戻せただけでなく、こんな気持ちの変化もあったといいます。

 

「住み慣れた家を手放すのに、躊躇しなかったわけではありません。ですが、小さくて新しいマンションは想像以上に快適です。それに、近くにいたときより孫を素直にかわいいと思えるようになった気がします。距離って、やっぱり必要なんですね」

 

 

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