「120万円を現金で精算していただきます」5年後の査定で突きつけられた〈絶望の請求書〉
「このお車は修復歴がある『事故車』扱いです。設定していた残価との差額、120万円を現金で精算していただくこととなります。現金一括が難しければ、再ローンという方法もありますが」
事故によってフレーム(骨格)に歪みが生じ、修理した事実は「修復歴」として記録されます。残クレの「残価保証」には厳格な条件があり、事故車となった時点で保証は消滅、事故車の市場価値まで一気に暴落します。
相手から受け取った賠償金はあくまで「修理代」のみ。事故によって下がった「車の資産価値(評価損)」までは、日本の保険制度では十分に補填されないことが多いのです。
Sさんの手元には、資産価値を失った高級車と、払える見込みのない120万円の請求書だけが残りました。
ディーラーは絶対に教えてくれない…低所得層を追い詰める「残クレ」の3つの注意点
憧れの高級ミニバンが、月数万円の支払いで手に入る。そんな魔法のような言葉で普及した「残価設定型ローン(残クレ)」。
しかし、残クレは貯蓄の少ない世帯をじわじわと苦しめる可能性があります。なぜ、この仕組みが低所得層にとって残酷な結末を招くのか。
その裏側に隠された3つの理由を解説します。
1. 「残価保証」という脆すぎる約束
ディーラーが謳う「数年後の下取り価格保証」の裏側には、厳しい条件が並んでいます。走行距離、内装の汚れ、そして決定的なのが「修復歴(事故歴)」です。
もし「もらい事故」に遭って修復歴がついてしまえば、残価保証というスキームは根底から崩壊します。低所得層は「5年間、無傷で乗り続ける」という、自分ではコントロールできない勝率の低い賭けに、家計の全運命を預けているといっても過言ではありません。
2. 保険では救えない「評価損(格落ち)」
事故の際、保険でカバーされるのは主に「修理費」のみです。中古車市場で価格が暴落する「評価損(格落ち)」分まで補填されるケースは、残念ながら日本の保険の慣習上多くありません。
修理して見た目が直っても、査定額が100万円以上下がる。この「保険で救えない損失」を、貯蓄のない層は自腹で精算せざるを得ません。この瞬間、低負担だったはずのローンは、逃げ場のない負債へと姿を変えます。
3. ディーラーの「周到な計算」と囲い込み戦略
なぜ営業マンは、顧客のリスクを承知のうえで残クレを勧めるのか。そこには巧妙な経営戦略があります。
