(※写真はイメージです/PIXTA)

大人になってからも親と同居を続ける人は、今の日本では決して珍しい存在ではありません。内閣府『令和7年版 高齢社会白書』によると、65歳以上の者のいる世帯のうち20.2%が「親と未婚の子のみの世帯」です。暮らし方の選択肢は多様化していますが、実家暮らしには今なお「自立していない」という目が向けられやすいのも現実です。

まだここにいるの?…何気ない一言が突きつけた“外からの視線”

転機となったのはこの春休みでした。姉の家族が帰省し、小学6年生の甥が何気なくこう口にしたのです。

 

「おじさん、まだここにいるの?」

 

悪意のない、ただの一言でした。けれど、その場の空気は一瞬止まりました。姉はあわてて「そういう言い方しないの」とたしなめましたが、祥一さんは返す言葉が見つからなかったといいます。

 

「子どもだから、思ったことをそのまま言っただけなんですよね。でも、たぶん世間の感覚って、ああいうものなんだろうなと思いました」

 

その夜、食卓を片づけながら、祥一さんはひどく疲れた気持ちになったそうです。

 

「自分では“親のためになっている”“合理的である”と思っていても、外から見れば“ずっと実家にいる人”なんだな、と」

 

甥の言葉はしばらく頭から離れませんでした。祥一さんは初めて、本気で実家を出ることを考えたといいます。通勤圏内の賃貸を調べ、家賃相場や初期費用も確認しました。金銭面だけなら、すぐにでも動けるはずでした。

 

それでも、踏み切れなかったのです。

 

「家を出ること自体は簡単なんです。でも、出たあとに何が変わるのかと考えると、急に分からなくなってしまって」

 

理由は一つではありませんでした。父母の通院や買い物の補助があること。空き部屋の多い実家を、結局は誰かが維持しなければならないこと。そして何より、自分自身がすでにこの生活に慣れ切ってしまっていたことでした。

 

「たぶん、“出方が分からなくなっている”んです」

 

内閣府『令和7年版 高齢社会白書』によると、65歳以上の者のいる世帯のうち20.2%が「親と未婚の子のみの世帯」です。高齢の親と未婚の子が同居する世帯は、決して例外的な形ではありません。ですが、統計上一定数あることと、当事者が葛藤なく暮らせることは別問題です。

 

祥一さんも、親との同居が不幸だとは思っていません。食事をともにし、必要なときに助け合える安心感は確かにあるといいます。ただ、その安心の裏側で、自分の人生を自分で決めきれていない感覚も強まっていきました。

 

「結婚しなかったことも、家を出なかったことも、自分で選んだ面はあります。でも、選び続けたというより、“今のままで困らないから先延ばしにしてきた”のかもしれません」

 

 \4月14日(火)ライブ配信/
 「名義預金」判定のポイント 

指摘率トップの理由とは
相続税の税務調査の実態と対処方法

次ページ貯金があっても埋まらない…男性が向き合った“先送りの人生”
カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 石福金属工業のお知らせ 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧