キッチンもお風呂も一緒の「完全同居」で20年
「結婚した当初からずっと同居していますが、お風呂もキッチンも一緒です。二世帯住宅のように家を分けて、部屋が狭くなってしまうのが嫌だったんです」
都内の戸建て住宅で暮らすMさん(52歳・女性)は、結婚してからの20年間、夫の両親と同じ屋根の下で生活を共にしてきました。
玄関や水回りを完全に分けるスタイルの二世帯住宅が主流となるなかで、Mさんのような完全同居でうまく関係が続いているケースは珍しい部類に入ると自身でも感じているそうです。もちろん、長い年月のなかでは価値観の違いから多少の衝突はありました。
しかし、関係が決定的に悪化しなかったのは、義父母の配慮が大きかったといいます。
「義理の両親は、私たち夫婦の生活にあまり干渉せず、常に適度な距離を保ってくれていました。それが一番ありがたかったですね。私たちも日中は仕事に出ているので、顔を突き合わせる時間がそこまで長くなかったのもよかったのかもしれません」
数年前に義母が他界し、現在は義父と夫婦の3人暮らしになりました。日中、Mさん夫婦が仕事で家を空けている間、義父は自分の時間をのんびりと楽しんで暮らしているそうです。
生活費の分担と「ひ孫」がもたらす円満な関係
完全同居においてトラブルになりやすいのがお金の問題です。Mさんの家庭では、誰が何を負担するのか明確にしています。
「固定資産税や光熱費などの維持費は、すべて私たちが払っています。ただ、食費だけは完全に別にしています。特段これで問題を感じたことはありません」
子世帯が金銭的な負担を背負う一方で、Mさん夫婦も義父母から多くのサポートを受けてきました。とくに子どもが小さかったころは、仕事で忙しいMさんに代わって義父母が面倒を見てくれたことで、大変助けられたと振り返ります。
そして現在、Mさんの子どもも独り立ちして家庭を持ち、義父にとっては「ひ孫」が誕生しました。
「義父はひ孫を溺愛しています。私たちが生活費を負担している代わりというわけではないでしょうが、自分の年金からひ孫のおもちゃなどを喜んで買ってくれます。ひ孫と遊ぶことが義父にとっても生きがいになっていると感じます」
生活空間をともにしながらも、金銭面や生活のペースで自立し、お互いに助け合う。Mさんの事例は、適度な距離感と思いやりがあれば、完全同居でもストレスなく生活が送れることを教えてくれます。
