今回は、定期借家契約でよく言われる、「家賃を下げないといけない」という話は本当なのかを見ていきます。※本連載は、株式会社リーシングジャパン代表取締役、沖野元氏、不動産コンサルタント、林浩一氏の共著『賃貸の新しい夜明け』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、定期借家契約のメリットと定期借家契約を実際に活用する際のポイントを紹介します。
再契約で長期間賃貸する場合、賃料を下げる必要はない
今回は、定期借家契約にまつわる2つ目の誤解を見ていきます。
②定期借家契約にすると家賃を下げないといけない
これも定期借家契約をよく理解していないから出てくる言葉です。ただ、定期借家契約が普通借家契約と比べて募集に不利ということは若干あることは事実です。それは不動産業者の理解不足、お客さまの理解不足が原因です。後で述べるように定期借家契約には次の2通りのものがあると考えてください。
●終了型
●再契約型
終了型とは、取り壊し予定や貸主の使用予定があり、契約が期間満了で終了し、再契約がないものをいいます。契約期間が2年以下の場合は、やはり賃料を安くする必要があるでしょう。できるだけ長期に借りたいと考えるお客様には不利な条件となるからです。
一方で再契約型とは、基本的に貸主は長期間賃貸する意思があるものです。通常、借主に契約違反等がなければ再契約を希望します。この場合は、家賃を下げる必要はまったくないということになります。定期借家契約のメリットを享受するためにそちらの契約にするだけなので、家賃は現状維持できるのです。
貸主は不動産業者に「再契約する意思」をしっかり伝達
<この誤解への対処法>
家賃を下げないと募集できないという不動産業者には、「再契約型なので賃料の滞納や他の入居者への迷惑行為がなければ原則として再契約する意思がある」ということを明確に伝えることです。お客様には不動産業者からその旨を伝えてもらいます。募集チラシにその旨を示しても良いでしょう。
株式会社リーシングジャパン
代表取締役
広島県出身。日本大学経済学部卒。教育産業、貿易業等に従事した後、大手不動産会社入社。その後、渋谷の不動産会社へ転職。平成21年、株式会社リーシングジャパン設立と同時に代表取締役に就任。賃貸・売買仲介、中古物件再生事業、管理を中心に、客付けに特化したリーシングコンサルタントとしても活動。また、一般財団法人日本不動産コミュニティ(J‐REC)の監修する不動産実務検定の人気講師として、これまでに多数の受講生を輩出。平成26年7月よりJ‐REC東京第2支部の支部長を務める。講演・執筆多数。
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連載不動産オーナーとして知っておきたい「定期借家契約」のメリット
賃貸UP‐DATE実行委員会 代表
不動産コンサルタント
昭和35年、神奈川県横浜市生まれ。高校卒業後アメリカ・ロサンゼルス Pacific States University留学~獨協大学中退。長年、海外旅行業界の仕事に従事し、主に東南アジアの都市や当時まだ馴染みの薄かったタイのサムイ島・フィリピンのセブ島。ボラカイ島などへのツアーを大手ホールセラーと共同企画。多くのヒット商品を出す。また、ダイヤモンドホテルのフロント業務なども経験する。
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