今回は、定期借家契約では貸す側の事務作業などが面倒になるのかを検証します。※本連載は、株式会社リーシングジャパン代表取締役、沖野元氏、不動産コンサルタント、林浩一氏の共著『賃貸の新しい夜明け』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、定期借家契約のメリットと定期借家契約を実際に活用する際のポイントを紹介します。

大家さんにとって面倒なことは少ない

今回は、定期借家契約にまつわる3つ目の誤解を見ていきます。

 

③定期借家契約は面倒

 

大家さんにとって面倒なことは非常に少ないです。面倒というのは不動産業者にとっては、多少はあるかもしれません。事前説明書面の作成や代理での説明、終了通知の管理と送付等、普通借家契約に比べて作業が増えて責任も増します。しかし、これも後で述べるようにフォーマットに従ってやれば簡単なのです。要は慣れの問題です。

インセンティブを用意して不動産業者にお願いする

<この誤解への対処法>

この場合の対処というのは、ほとんどの場合は大家さん側の不動産業者を相手としての対処ということになります。これは今までの2つの対処と比べて若干難しいです。大家さんが不動産業者に対して定期借家契約は面倒ではないと説くと、プロであるはずの不動産業者は嫌がります(このあたりの不動産業者との付き合い方についての解説は拙書「大家さんのための客付力」に詳細に書きましたので、そちらを参照してください)。

 

 

ではどうすれば良いかということですが、基本は「お願いする」ということになります。また、インセンティブ(特典)を与えるのも良いでしょう。広告料は当然のことながらそれにプラスして担当者への謝礼などです。

 

また、他の賃貸条件を緩和して不動産業者が客付けしやすいように誘導する方法もあります。敷金・礼金を下げたり、日割り賃料のおまけ(フリーレント)などです。客付けしやすい(=売上が上げやすい)物件であれば、積極的に営業してくれるのです。また、そうしたインセンティブがなくても後で解説する「物件力」があれば、不動産業者は取り扱ってくれるでしょう。

 

以上、定期借家契約にまつわる誤解とその対処法を解説しました。いずれも決して難しいことではないとわかったはずです。では次回からは具体的な始め方に入っていきます。

本連載は、2015年8月刊行の書籍『賃貸の新しい夜明け』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

賃貸の新しい夜明け

賃貸の新しい夜明け

沖野 元,林 浩一

週刊住宅新聞社

長らく旧態依然としていたこの不動産業界にも、大きな波が来ています。人々のライフスタイルの変化による波が、住まい方の変化にも及んできています。 こうした時代の変化に、不動産業者も大家さんもついていくしかありません…

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