(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の生活を支える柱である公的年金。しかし、実際に受給が始まる段階で「思っていたより少ない」と感じる人は少なくありません。厚生労働省『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、老齢厚生年金(会社員)の平均受給額は月15万1,142円。長年働いてきたとしても、加入状況や収入水準によって受給額には大きな差が生じるのが現実です。

「繰下げ受給」という選択肢もあったが…

中村さんは、年金を65歳から受給することを選びました。

 

本来、公的年金は受給開始を66歳以降に遅らせる「繰下げ受給」を選択することで、受給額を増やすことが可能です。1ヵ月遅らせるごとに0.7%増額され、最大で75歳まで繰り下げた場合、84%増となります。

 

「制度としては知っていましたが、そこまで待つ余裕がありませんでした」

 

再雇用で働く選択肢もありましたが、体力面の不安もあり、長く続ける自信はなかったといいます。

 

現在、中村さんは支出を見直しながら生活を続けています。外食の回数を減らし、光熱費や通信費の見直しも行いました。

 

「できることはやっていますが、やっぱり不安は消えません」

 

そう話したあと、中村さんは少し間を置いてこう続けました。

 

「年金の仕組みを、もっと早く知っておけばよかったと思います」

 

公的年金は、加入期間や収入、働き方によって受給額が大きく変わります。しかし現役時代は、将来の受給額を具体的に把握していないまま過ごしてしまう人も少なくありません。

 

「なんとなく“これくらいもらえるだろう”と思っていました。それが一番よくなかったですね」

 

老後の生活設計において重要なのは、「いくらもらえるか」を正確に把握することです。

 

日本年金機構が提供する「ねんきんネット」などを活用すれば、将来の受給見込み額を確認することができます。また、早い段階から不足分を認識することで、貯蓄や働き方の見直しといった対策も取りやすくなります。

 

「現役のときに一度でもちゃんと確認していれば、違った選択ができたかもしれません」

 

老後資金の問題は、受給が始まってから気づくのでは遅い場合もあります。将来の年金額を「なんとなく」で捉えるのではなく、具体的な数字として把握することが、安心した老後への第一歩となるのかもしれません。

 

 

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