二世帯住宅「一緒に住めば安心だと思っていました」
「一緒に住もうって言われたときは、正直ほっとしたんです」
そう話すのは、関東地方で暮らす和夫さん(仮名・70歳)と妻の洋子さん(仮名・68歳)です。
和夫さんは会社員として働き、定年後は年金生活に入りました。現在の年金収入は夫婦で月約22万円。持ち家はありましたが、築年数が古く、将来的な不安を感じていたといいます。
そんなとき、長男から同居の提案がありました。
「子どもが近くにいてくれたら安心だし、将来のことを考えてもいい話だと思いました」
話し合いの末、夫婦は自宅を建て替え、二世帯住宅にすることを決断。建築費は約3,500万円で、そのうち2,000万円を夫婦が負担し、残りを長男世帯が住宅ローンで支払う形となりました。
「これでお互い助け合いながら暮らせると思っていました」
新しい生活は順調に見えました。孫と過ごす時間も増え、にぎやかな日々。食事も一緒に取ることが多く、光熱費などもまとめて支払う形にしていました。
しかし、徐々に気になることが増えていったといいます。
「誰がどこまで負担しているのか、はっきりしなくなっていったんです」
当初は「細かいことは気にしないでおこう」と考えていたものの、食費や光熱費、日用品の負担が徐々に夫婦側に偏っていきました。
「気づいたら、ほとんどこちらが払っている状態でした」
長男世帯は住宅ローンを抱えていたため、強く言いにくい状況もあったといいます。
さらに負担となったのが、住宅にかかる維持費でした。
二世帯住宅は一般的な住宅よりも設備が多く、修繕費もかかりやすい傾向にあります。加えて、建物評価額が上がることで固定資産税も増加します。
「こんなに維持費がかかるとは思っていませんでした」
実際、固定資産税は建て替え前より大きく増え、年間で数十万円の負担に。加えて、設備の不具合や修繕費も発生し、想定以上の支出となりました。
総務省『家計調査(2024年)』によれば、高齢夫婦のみの無職世帯の平均支出は月約25.6万円。年金収入だけでは不足するケースが一般的とされています。
「毎月の生活費に加えて、住宅関連の出費が重くのしかかってきました」
