(※写真はイメージです/PIXTA)

ニュージーランド(NZ)は、英国からの独立の歴史を背景に、所得税の地方税がなく、キャピタルゲイン課税や相続税・贈与税もない独自の税制を採用しています。さらに、中低所得層の勤労促進と子どもの貧困削減を目的として、家族税額控除制度(WFTC)が導入されており、子育て世帯への手厚い支援が特徴です。本記事では、NZの税制の特徴と家族向け控除制度の内容について、2026年3月に『世界の税金はどうなっているのか 富裕層の相続戦略シリーズ【国際編】』を刊行した矢内一好氏がわかりやすく解説します。

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ニュージーランドの税制

ニュージーランド(以下「NZ」といいます)は、英国から独立した歴史を持つことから、税制においても英国税制と類似する点が多くあります。

 

類似点としては、以下の3点が挙げられます。

 

1.所得税の地方税がないこと

2.包括的なキャピタルゲイン税(譲渡益課税)が導入されていないこと

3.英国の源泉徴収制度であるPAYE(Pay As You Earn)を採用していること

 

また、NZの税制の特徴としては、オーストラリアと同様に相続税および贈与税がないことが挙げられます。このため、日本の一部の富裕層から相続税等の租税回避が行える国として注目されています。

 

NZでは、カナダ(1991年導入)、オーストラリア(2000年導入)、シンガポール(1994年導入)と同様に、物品・サービス税(Goods and Services Tax:GST)という名称の消費税が適用されています。

家族税額控除制度の中身

さらに、NZでは2004年以降、中低所得層の勤労促進と子どもへの貧困削減を目的として、家族税額控除制度(Working for Families Tax Credits:以下「WFTC」といいます)が導入されています。WFTCは、以下の4つの制度から構成されています。

 

1.家族税額控除(Families Tax Credit)

18歳以下の扶養子どもを持つ家族に適用されます。控除額は所得や扶養子どもの数により決定されます。現在の支給額は、長子に対して年間7,921NZD、第2子以降に対して6,454NZDが支給されます。

 

2.就労税額控除(In-Work Tax Credit)

就労している子育て世帯に対して支給される税額控除であり、一定時間以上の就労が条件となる。2024年以降の制度では、子どもが1~3人の場合は年額5,070NZD、4人目以降の子どもについては1人あたり780NZDが追加される。

3.新生児税額控除(Best Start Tax Credit)

2024年度では、出生後1年目は支給がなく、2年間及び3年目に支給されます。

 

4.最低家族税額控除(Minimum Family Income Tax Credit)

2024年度は、手取り所得が年間36,604NZD以下の勤労家族に適用されます。

 

さらに、WFTCでは、控除額が所得税と相殺され、控除額が所得税を上回る場合は超過分が給付されます。WFTCの執行は、内国歳入庁(Inland Revenue Department)が担当しています。

 

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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