相続対策では、貸家で土地の持分が少ない住宅が優位
次は、2015年1月1日より行われた相続税改正の影響です。これにより、都内で亡くなる人の約半数、首都圏で亡くなる人の約45%が相続税の対象者になると言われています。
今後も老後破産になる人が増えると予想されているのは、高齢者に対しての増税や社会保障の負担増加が、さらに続くと考えられているからです。マイナス金利の導入で、お金をドンドン刷っているにもかかわらず、景気が良くならないのは、社会保障不安でお金を使えない高齢者が多いからになります。景気を良くするためには、高齢者が持っている預貯金を市場に還流することが必要です。そのため、社会保障の負担増や消費税の増税など高齢者の預貯金を市場に流す政策が、今後も取られる可能性は非常に高いと言えるでしょう。そうなった時に対応できるような、ゆとりのある老後対策が必要になります。
その流れを汲んだ法令改正が、相続税の増税と贈与税の減税で、相続税増税の影響を受けて流行したのが、不動産投資であり、その中でもタワーマンション節税が話題を呼んだのは記憶に新しいところです。しかしながら、タワーマンション節税は、やりすぎ感も話題になり、今後は見直しが検討され、固定資産税の増税も報道されています。
そんな中、注目を浴びているのがワンルームマンション経営です。相続対策として必要なことは、①「貸家であること」②「土地の持ち分が少ないこと」の2点。つまり、土地の上に高い建物が建っていれば建っているほど、土地の持ち分は少なくなり、相続対策に有利になるということです。相続対策といった意味では、土地の持ち分が多いアパートより、土地の持分が少ない区分のマンションの方が優位性は高いと言えます。
現金を不動産に変えれば、相続税を払うリスクは軽減
2015年の相続税改正により基礎控除額の計算方式が変更され、相続税の支払い対象者が多くなりました。これまでは5000万円+(1000万円×法定相続人数)だったものが、3000万円+(600万円×法定相続人数)まで縮小されました。そのため、一般のサラリーマンも相続税の支払い対象者となり得ます。
とはいえ、金融資産1億円未満のサラリーマンにとって、節税効果が高いと謳われる「タワーマンション節税」は投資金額が1億円前後かかるため非現実的なことと言えるでしょう。ですが、そうしたサラリーマンにとっても、2000万前後のワンルームマンションであれば、比較的取り組みやすく節税効果も高いので、節税対策の手段として有効であると検討している人が増えています。
金融資産1億円前後のサラリーマンが対象内の相続税増税は、万が一、ご主人が早期に亡くなった場合、奥様やお子様は相続税を払う必要が出てくる可能性も十分考えられるということです。老後のために1億円程度の貯金残高と持ち家、生命保険や個人年金などのみなし相続財産があった場合、相続税は容赦なく課税されます。
もしそうなった場合、残された奥様の生活は安泰とは言えません。遺族年金は支給されますが、当然、夫が存命であればもらえるはずであった満額の年金はもらえず、老後の生活資金は大幅に減ります。そういったリスクに対して、現金を不動産(ワンルームマンション)に変え「財産評価」を下げたり、「生前贈与」を活用することで、相続税を払うリスクはかなり軽減されます。
時価で評価される預貯金や株等の有価証券だけではリスクになり、不動産をポートフォリオに組み込むことで相続税の課税に対してのリスク回避ができるため、効果的な手段として検討する人が増えるでしょう。
流動性が高く、最も現金化しやすい都心の物件
しかし、相続対策のために安易に不動産と考え、所有している土地にアパートを建て、空室に困っているオーナーも後を絶ちません。自分の土地が賃貸経営に向いているかどうかを慎重に判断することが重要であり、賃貸需要が無いのにアパートを建てても後悔するだけです。
もし、相続対策を考えている人は、都心で物件を購入することが望ましいと言えるでしょう。なぜなら、賃貸需要が安定していれば、安定した賃料収入を得ることも可能になります。また都心立地のワンルームマンションは不動産の中でも流動性が高く、最も現金化しやすい物件である点も相続対策としては効果的です。
家賃収入が入りやすく流動化もしやすいワンルームマンションは、今後本格的に相続対策を考えなくてはならない団塊の世代にとっても、ますます効果的な相続対策の手段として注目を浴びることでしょう。
相続対策マネーが、都心のワンルームマンション市場に流入することで、物件の資産価値も維持しやすくなることを覚えておいてください。