前回は、国家戦略特別区制定で魅力を増す「下町エリア」の不動産投資について取り上げました。今回は、民泊条例で変わる賃貸市場について見ていきます。

ホテルに転用される部屋が増え、賃貸物件の総数が減少

アベノミクス第一弾で発表されたもう1つの規制緩和は、いわゆる「民泊条例」です。

 

訪日外国人を増やすためにも必要なのはホテルですが、現在このホテルが足りません。そこで、このホテル不足を解消するために賃貸住宅の宿泊施設への転用を認めようというのが、「民泊条例」です。

 

現時点では、法令整備が進んでいないため、大田区内で十数件の認定物件があるだけですが、整備が進み、賃貸住宅の民泊化が当たり前となれば、賃貸市場が劇的に変化することが予想されます。

 

民泊条例が普及することによって、賃貸市場からホテルに転用される物件が一定数出ることにより、賃貸物件の総数が減ります。民泊としてホテル代わりに転用される物件は、外国人が迷わないよう利便性を備えた駅近物件に代表されるような好立地であることが必要なため、賃貸市場から魅力的な物件が一定数減ってしまうことが予想されるでしょう(図表参照)。賃貸市場から魅力的な物件がなくなれば、当然、残りの物件に対して賃貸需要が集中し、相対的に家賃が上がることも十分に考えられます。

 

【図表 民泊が賃貸市場に与える影響】

また、最近では民泊条例と併行して、ホテルを建築する際の容積率の規制緩和も検討されているようです。この法案が成立することによって、ホテル用地の高騰も十分ありえるでしょう。

 

つまり、民泊が加速するにしても、ホテルの容積率が緩和されるにしても、都心の土地ニーズは高まり地価に影響することは大いに考えられます。そういった法整備がされる前に好立地のマンションや土地を所有したオーナーは、再開発後の恩恵を十分に受けることができるはずです。

法令改正による恩恵を受けるには事前の情報収集が重要

通常投資は未来に対して行うもので、今後の明るい見通しがないエリアに投資するのではなく、これから成長が期待されるエリアの物件に「今」投資をしていくことこそ、投資の醍醐味です。

 

因みに、民泊条例も旅館業法との兼ね合いで「営業日数」での制限が出ることが報道されています。もし、営業日数に制限が出た場合、ウィークリーマンションやマンスリーマンションの企業が積極的に運用に乗り出すことでしょう。なぜなら、既存のスキームにさらに民泊が可能になった場合でも、追加投資が少なく民泊の利用者を獲得することが可能だからです。

 

このように不動産市況は、法令改正で大きな影響が出ます。しかし、その恩恵を受けられるのは、再開発前に投資をしている人です。恩恵を受けるためには、アンテナを高くして法令改正に対して情報収集することが重要になります。

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仲宗根 和徳

幻冬舎メディアコンサルティング

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