(※画像はイメージです/PIXTA)

1月下旬の急落で市場に緊張が走ったものの、金相場は大きな混乱なく持ち直した。米国上場ETFへの資金流入、中国の旺盛な現物需要、そして中央銀行による構造的な買いが続くなか、金は依然として「過少保有」の資産にとどまるとの見方も強い。投機的な過熱が一巡したいま、6~12カ月で1オンス6,000ドルを視野に入れる強気シナリオは現実味を帯びている。ビットコインETFとの資金フローの乖離や、中国市場のプレミアム拡大といった足元の動向を踏まえつつ、金市場の現在地を整理する。なお、本稿はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの3名のストラテジストによる共同執筆です。

ビットコインと金ETFの資金フローの乖離は、投資家の慎重姿勢やリスク選好の低下を示唆

米国上場のビットコインETFと金ETFでは、2024年1月に現物型ビットコインETFが上場して以降、資金フローの面で最大の乖(かい)離が生じています※16。これは、ここ数四半期における金を選好し暗号資産を敬遠する法定通貨の代替資産内での資金シフトにとどまるのか、それともマクロ環境に対するリスク選好の広範な見直しを反映しているのかは、現時点では判然としません。しかし、2025年以降の資金フローやボラティリティの動向を踏まえると、金とビットコインはポートフォリオ内で共存し得る一方、互いに代替的な資産とは言えないことが示唆されます。

 

ビットコインETFは、2年前の上場以来、3カ月連続、ましてや4カ月連続で資金流出となったことはこれまで確認されていません※17。11月から2月までの資金フローデータを見ると、米国上場のビットコインETFでは約68億ドルの解約が発生したのに対し、金ETFでは127億ドルの純流入が記録されています※18

 

ビットコイン/金価格比の数カ月にわたる低下と、こうした資金フロー面の乖離は、低ボラティリティ資産やリスクオフ局面でのヘッジ、さらには流動性への投資家の需要が高まりつつあることを示唆している可能性があります※19

 

もっとも、株式市場のバリュエーションが過去最高水準にあり、S&P500指数が7,000に向けて上昇を続けていること、さらには暗号資産セクターに対する規制面での追い風があることを踏まえると、10月以降のビットコインETFからの資金流出傾向は一層不可解です※20。その意味では、投資家は現在の高いバリュエーションのもとで、上方テール(極端な上振れ)シナリオに賭けた総レバレッジを縮小し、下方テールに備えるヘッジを模索している可能性があります。また、足元では貴金属が法定通貨の代替資産の中で選好されているとみられます。

 

[図表4]中央銀行による金購入は構造的に高水準を維持★4

 

次ページ公的部門の持続的な買いが金需要と価格を引き続き下支え

〈ご留意事項〉
本書は、投資の推奨や投資アドバイスを意図したものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。

本稿に示されている見解は2026年1月6日時点のSPDRゴールド戦略チームの見解であり、市場やその他の状況によって変わる場合があります。本資料には、将来の見通しと見なされる可能性のある記述が一部含まれています。その様な記述は、将来のパフォーマンスを保証するものではなく、実際の結果や展開はこれら予想とは大きく異なる場合がある点にご注意ください。

提供された情報は、投資助言に該当するものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。本情報は、有価証券の購入の勧誘または売却の申出とみなされるべきものではありません。本情報は、投資家の特定の投資目的、戦略、税務上の地位または投資期間を考慮したものではありません。ご自身の税務・財務アドバイザーにご相談ください。

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コモディティやコモディティ指数に連動した証券は、全体的な市場動向の変化や金利の変化、さらには天候、疾病、通商停止や政治的ないし規制的な展開、対象コモディティに係る投機者や裁定者の取引活動な ど、他の要因の影響を受けます。

コモディティへの投資は大きなリスクを伴うため、すべての投資家に適した投資対象ではありません。

過去の実績は、将来の投資成果を保証するものではありません。

本資料は、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。

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〈注記〉
※1 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 01/31/2026
※2 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 01/31/2026
※3 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 01/31/2026
※4 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 01/31/2026
※5 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/04/2026
※6 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 01/31/2026
※7 Source: Morningstar, LBMA, World Gold Council, State Street Investment Management, as of 12/31/2025
※8 Source: Morningstar, LBMA, World Gold Council, State Street Investment Management, as of 12/31/2025
※9 Source: Morningstar, LBMA, World Gold Council, State Street Investment Management, as of 12/31/2025
※10 Source: SSIM, World Gold Council, as of 12/31/2025
※11 Source: SSIM, World Gold Council, as of 12/31/2025
※12 Source: China Custom, LBMA, Shanghai Gold Exchange, as of 12/31/2025
※13 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※14 Source: World Gold Council, SSIM, as of 12/31/2025
※15 Source: China Custom, LBMA, Shanghai Gold Exchange, as of 02/05/2026
※16 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 01/31/2026
※17 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 01/31/2026
※18 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/05/2026
※19 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/05/2026
※20 Source: Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/05/2026
※21 Source: World Gold Council Gold Demand Trends: Q4 and Full Year 2025, as of 01/29/2026
※22 Source: World Gold Council Gold Demand Trends: Q4 and Full Year 2025, as of 01/29/2026
※23 Source: World Gold Council Gold Demand Trends: Q4 and Full Year 2025, as of 01/29/2026
※24 Source: World Gold Council Gold Demand Trends: Q4 and Full Year 2025, as of 01/29/2026
※25 Source: World Gold Council Gold Demand Trends: Q4 and Full Year 2025, as of 01/29/2026
※26 Source: World Gold Council Gold Demand Trends: Q4 and Full Year 2025, as of 01/29/2026
※27 Source: World Gold Council Gold Demand Trends: Q4 and Full Year 2025, as of 01/29/2026
※28 Source: World Gold Council Gold Demand Trends: Q4 and Full Year 2025, as of 01/29/2026
※29 Source: World Gold Council Gold Demand Trends: Q4 and Full Year 2025, as of 01/29/2026
※30 Source: SSIM, as of 02/05/2026
※31 Source: SSIM, as of 02/05/2026

★1 出所:モーニングスター、ロンドン貴金属市場協会、ワールド ゴールド カウンシル、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント データは2025年12月31日時点

★2 出所:中国税関、ロンドン貴金属市場協会、上海金取引所、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント データは2026年2月5日時点

★3 出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント データは2026年2月5日時点

★4 出所:ワールド ゴールド カウンシル、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント データは2025年12月31日時点

〈用語集〉
中央銀行
一つの国または国家連合で用いられる通貨と信用の創造と分配を独立性を持って管理する金融機関。

COMEX
コモディティ(主に金、銀、銅、アルミニウム)の先物を取引する市場。

金のスポット価格
スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。

実質金利
インフレ調整後の金利。物価上昇の影響を取り除くことで、真の借入れコストおよび投資による実際の利回りを反映します。

ディーラー・ガンマ・スクイーズ
オプション市場におけるディーラーのヘッジ行動によって生じる市場の動き。投資家が大量のコールオプションを購入すると、ディーラーはガンマがショートの状態となります。その結果、価格が上昇するにつれてエクスポージャーをヘッジするために原資産を買い増す必要が生じます。これが需給をさらに逼迫(ひっぱく)させ、ファンダメンタルズとは無関係に価格上昇を加速させることがあります。

短期満期
数日から数週間で満期を迎えるオプション契約。満期が近づくにつれてガンマが高まり、小幅な価格変動でもディーラーのヘッジ取引が大きくなりやすく、原資産の短期的なボラティリティが増幅されることがあります。

RSI (Relative Strength Index:相対力指数)
直近の価格変動の速さと大きさを、0から100の尺度で測定するモメンタム指標。一般に70 を超えると買われ過ぎ(過熱)とされ、30を下回ると売られ過ぎと判断されます。

CIO (Chief Investment Officer:最高投資責任者)
資産運用会社、年金基金や大学基金、保険会社などにおいて、戦略的な資産配分を決定する上級投資責任者。CIOのポジション変更は、短期的な売買判断というよりも、長期的なポートフォリオ構築方針の見直しを反映していると考えられます。

レフトテール・ヘッジ
株式急落、政策ショック、通貨の不安定化など、極端に悪い市場結果(下振れ)からポートフォリオを守るためのポジション。金は、市場全体におよぶストレス局面における過去のパフォーマンスから、レフトテール・ヘッジとして位置づけられることが多いです。

中国人民銀行(PBOC)
中国の中央銀行であり、金準備を継続的に積み増している主要な構造的買い手。

中国金価格プレミアム
上海黄金取引所(Shanghai Gold Exchange:SGE)の金価格と国際指標価格との価格差。プレミアムがプラスの場合、中国国内における現物需要の強さや供給の逼迫(ひっぱく)を示し、しばしば金の輸入増加を促す要因となります。

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