無理をしないために大切な考え方
出産祝い、入学祝い、ランドセル、学習机、習い事の初期費用。昔よりもモノの値段が上がっている今でも、「孫へのお祝いは祖父母が出してくれるもの」と期待されます。
しかし、祖父母側の収入は年金が中心で、今後増える見込みはほとんどありません。無理をすれば、老後資金そのものを削ることになります。
もちろん孫のために何かしてあげたいという気持ちは自然なものです。ただし、それが「生活を脅かすほどの負担」になっているなら、立ち止まる必要があります。
大切なのは、金額ではなく「できる範囲」をはっきりさせることです。最初から上限を決め、「入学祝いは3万円まで」「高額なものは一部負担にする」と伝えておくだけでも、期待値は大きく変わります。
また、「出せない」ことが「愛情がない」わけではありません。一緒に過ごす時間や言葉での応援も、孫にとっては十分な贈り物になります。
孫費用は「善意」だからこそ線引きが必要
今回の重明さん夫婦のケースも、後から冷静に振り返ると、言い方次第で結果は違ったかもしれません。感情が高ぶった状態での言葉は、取り返しのつかない溝を生むことがあります。
・金銭的に厳しい現実を、具体的な数字を交えて説明する。
・「応援したい気持ちはあるが、これ以上は難しい」と率直に伝える。
それだけでも、理解を得られる可能性は高まります。孫費用は義務ではなく、あくまで善意です。だからこそ、無理をして続けると不満が残ってしまいます。老後の安心と、家族関係の両立のためには、「出せるお金」と「出したい気持ち」を切り分けて考えることが欠かせません。
「祖父母が払うのが当然」――そんな空気があっても、それは絶対ではありません。支援は「義務」ではなく「選択」です。老後の安心を守りながら、無理のない形で孫と関わる。そのバランスこそが、これからの祖父母世代にとって後悔しないための現実的な向き合い方といえるのではないでしょうか。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
