「お父さん、また同じ話してる」…娘が感じた強烈な違和感。年金月22万円・74歳男性が免許返納で「50年ぶりに車のない暮らし」も、まさかの代償【CFPの助言】

「お父さん、また同じ話してる」…娘が感じた強烈な違和感。年金月22万円・74歳男性が免許返納で「50年ぶりに車のない暮らし」も、まさかの代償【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

地方で暮らす高齢者にとって、自動車は生活の一部ともいえる存在。一方で、「安全のため」「お金がかかるから」といった理由で免許を返納するケースも増えています。もちろん、返納自体は悪いことではありませんが、車に乗れなくなったことで、生活全体に影響するような「思わぬ変化」に直面することもあります。今回はトータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が、高齢者の免許返納で生じる問題や注意点について解説します。

74歳・独居年金暮らし「車にかかる年23万円の維持費」という現実

地方に住む山本和男さん(仮名・74歳)は、10代の頃から車に親しんできました。若い頃は仕事で毎日運転し、定年後も買い物や通院、趣味の釣りなど、日常の移動はほとんど車でした。

 

和男さんは3年前に妻を病気で亡くしています。それまでは、買い物や通院も夫婦で出かけることが多く、車は生活の足であると同時に、会話のある時間を生む存在でもありました。

 

今は、妻との時間はありません。しかし、相変わらず車は和男さんの生活の一部として、当たり前にあるものでした。ただし、現在の収入は、厚生年金と国民年金を合わせて月22万円ほど。決して余裕があるとはいえません。

 

車の維持費の内訳は年間で以下のとおりです。

 

・自動車税:約10,800円
・任意保険:約60,000円
・車検(2年で約100,000円→年換算50,000円)
・ガソリン代:月8,000円×12=96,000円
・その他整備費:約20,000円

 

合計すると、年間約23万円(月あたり約19,000円)の負担になります。

 

一人暮らしとなった和男さんにとって、この出費は決して軽いものではありません。 「自分一人のためにこの費用を払い続けるべきか」……。和男さんの中で、次第に考える時間が増えていきました。

家族の説得で免許返納を決断、50年ぶりに車のない生活へ

転機は、隣町に住む娘の言葉でした。

 

「お父さん、事故でも起こしたら大変だよ。もう無理しなくていいんじゃない?」

 

高齢ドライバーによる事故のニュースを目にするたびに、娘は不安を感じていたといいます。また、妻を亡くしてから一人で生活している父のことを思い、「これ以上リスクを増やしてほしくない」という気持ちも強かったのです。

 

和男さん自身も、加齢による反応の遅れを自覚したことがないわけではありません。最終的に、免許の自主返納を決断。車も約20万円で売却しました。

 

「車がないなんて50年ぶりだ。やっぱり寂しいが、仕方がないな……」

 

売却額を手に入れ、年間20万円以上の維持費もかからなくなるという安心感が最初はあったのも事実です。しかし、和男さんはすぐに、車のない暮らしの現実を知ることになりました。

 

 

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