定年間近なのに、貯金はわずか320万円…その理由
神奈川県内に住む会社員の佐伯隆志さん(59歳)は、大手メーカーに35年以上勤務してきました。年収はピーク時で850万円ほど。現在は役職定年を迎え、年収は650万円程度まで下がっています。
妻の真由美さん(56歳)はパート勤務。隆志さん夫婦は外食も少なく、ブランド品にも興味がありません。築25年の中古マンションに住み、車も10年以上同じものを乗り続けています。周囲からは「堅実な家庭」と見られていました。
しかし、定年を目前に控えた今、状況は厳しいものでした。夫の預貯金は、わずか320万円しかない状態になっていたのです。
実は、隆志さん夫婦の家計には誤算がありました。
役職定年による収入減や、築25年のマンションの修繕費、さらに真由美さんが親の介護のため働き方を見直したことなどです。
ただ、夫婦が最も想定していなかったのは、息子の大学費用と仕送りがここまで長期化すること。「大学を卒業すれば支出は落ち着く」――そう考えていたため、老後資金づくりを後回しにしたまま、家計の見直しが遅れてしまったのです。
一人息子への終わらない仕送り
夫婦には、隆志さんが35歳のときに授かった一人息子・悠斗さん(24歳)がいます。幼い頃から成績優秀で、難関の国立大学へ進学。夫婦にとって自慢の息子でした。 しかし大学進学後、生活は一変します。
一人暮らしを始めた悠斗さんは、オンラインゲームにのめり込むようになりました。昼夜逆転し、講義を欠席。夜通しボイスチャットをしながらゲームを続け、気づけば単位不足に。
最初の留年が決まったとき、隆志さんは息子の家まで足を運び、厳しく叱りました。悠斗さん自身も「本当にまずいと思っている。次はちゃんとやる」と反省した様子を見せます。
しかし、一度崩れた生活リズムは簡単には戻りませんでした。授業への出席は長続きせず、ゲーム中心の生活から抜け出せないまま、再び単位不足に。
隆志さんが生活改善を促しても、悠斗さんは「自分でも直したいと思っている。でもうまくいかない」と力なく答えるばかりでした。

