孫の入学祝いとしておねだりされた「ランドセル」
「そろそろランドセルを用意しなきゃならないんです」
ある日のこと、息子の妻がこう切り出しました。まだ小学校の入学は1年近く先。しかし、今は“ラン活”といって、早くにランドセルを予約・購入するのが当たり前。人気モデルは早く売り切れるのだと言います。
「そんなものなのか、大変だな」と頷いていた重明さんに、息子が帰りがけ、コッソリ声をかけてきました。
「父さん。母さんも一緒にランドセルを見に行かない? 催促するようで悪いけど、入学祝いで買ってもらえたら嬉しい。じいじ・ばあばからのプレゼントだったら、娘もすごく喜ぶから」
一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会の調査(2025年版)によると、ランドセルの購入者として「祖父母」が占める割合は54.4%に上っています。つまり、ランドセルを重明さん夫婦が買うこと自体は、特別なことではありません。何らかの形で入学祝いは渡すのだからと了承しました。
しかし後日、息子一家とデパートに赴いた重明さんは目を疑いました。
まさかの値札に「もう限界」
想定していた金額は、せいぜい3万〜4万円。しかし、息子夫婦と孫が指さしたランドセルの値札には10万円と書かれていたのです。どうやら、あらかじめ目をつけていたようでした。
しかし、孫に罪はありません。期待いっぱいでランドセルを背負ってみせる姿を見れば、買わないわけにはいきませんでした。しぶしぶクレジットカードで支払いを済ませた重明さんでしたが、その直後に発せられた息子夫婦のひと言で、積もり積もっていた不満があふれ出ました。
「ついでに学習机も見に行く?」
息子だけをデパートの隅に連れていき、「あんな高いものを買わせるなんて」「こっちは年金だけで暮らしてる。それをわかっていながら」――言葉はヒートアップしていきました。
そして、ついに「親は金づるじゃないんだ。そんなつもりなら、うちには来なくていい!」と怒鳴りつけたのです。
その後、息子一家からは距離を置かれるように。当然、孫とも会えなくなりました。
時間が経つにつれ、重明さんは「あんなことを言うべきじゃなかったのか」という後悔の気持ちが膨らんでいきました。孫と会えないことに、重明さんの妻も落胆を隠せません。しかし家計のことを考えれば、どこかで言うしかなかった。それも現実でした。
