インターンシップの学生の力で、海外進出に踏み出せた事例

前回は、長期インターンシップの活用において、企業と学生とのミスマッチを防ぐ方法について説明しました。今回は、インターンシップの学生の力で、海外進出に踏み出せた事例を紹介します。

何にでも興味を持って、積極的に行動したNさん

長期インターンシップの学生は、プロジェクトの一員として実務的な結果を出してくれるだけでなく、社内の雰囲気もよい方向にガラリと変えてくれます。

 

私の会社に初めてインターン生として来たのは、ハツラツとした雰囲気の女子学生、Nさんです。彼女がドアを開け「おはようございます」とあいさつしたとき、事務所に爽やかな風がすうっと吹いたようでした。

 

彼女は、何にでも興味を持って積極的に行動しました。私に同行してもらい、毎日取引先との打ち合わせにも行きました。するとわずか1カ月で業務を覚え、100万円の注文を一人で取ってきたのです。

 

「この子はただものじゃない。きっと会社を変えてくれる」

 

そう思いました。

 

実際に、私から何も頼まなくても他の社員のところに歩み寄っていき、

 

「その仕事、私がやります」

「○○さん、お昼ご飯に行きましょう」

「これが分からないので教えていただけませんか?」

 

と、積極的にコミュニケーションを取っていきます。

 

すると学生を「ちょっと手伝いに来たアルバイト」程度に考えていた社員も、次第に彼女を一社員として見るようになり、だんだんと社内の雰囲気が変わっていきました。本当に社内に新しい風を吹かせたのです。

 

彼女は天真爛漫な性格でした。また、バスケットボール部のキャプテンを小学校のころからしていたそうで、人を巻き込んで気持ちよくさせるということに長けていたのです。人前でしゃべったりする度胸があり、展示会でも立派に商品説明ができる。どこへ行っても人気者になるのが長所でした。

 

「私がいいます」

「社長はやらなくて結構です。私がやります」

 

と、人が嫌がることや、私から社員にいえば角が立つことを率先してカバーしてくれたのです。期間限定で、学生である自分の立場だからできる、と彼女は理解したのでしょう。そして、本気で会社をよくしようと思ってくれました。

 

[図表1]ある日のIさんの日報(抜粋)

プロジェクト成功後は、学生が途切れず来るように…

Nさんが携わった大きなプロジェクトは、中小企業庁が推進する「JAPANブランド育成支援事業」の認定でした。

 

これは、中小企業庁が新たに海外販路を開拓するための支援策で、複数の中小企業が連携して、自らの持つ素材や技術などの強みを踏まえた戦略の策定や、それに基づいて行う商品開発や海外展示会出展などの取り組みに対する支援です。

 

私の会社では、京都の伝統的な織物である西陣織の技術と私の会社で培ってきたテント製作の技術を組み合わせ、靴やバッグ、楽器のケースなどの製品を世界に発信するプロジェクトを申請しようとしていました。しかし人手が少なく、思うように進めることができていなかったのです。

 

NさんはJAPANブランド認定を目指し、プレゼンの資料や申請書類を用意してくれました。そのおかげもあり、全国で12社しか選ばれないJAPANブランドの認定を受けることができたのです。

 

このプロジェクトでは3年間で約1300万円の補助金を受けることができ、国内だけでなく、ドイツや中国・上海など、国外の展示会にも積極的に出展することができました。

 

長期インターンにやってきた学生の力を有効に活用したことで、海外進出の第一歩を踏み出すことができたのです。Nさんは半年後にはインターンの期間を終え大学へ戻っていきましたが、Nさんがきっかけで、それからは途切れることなく学生がやってくるようになりました。

 

[図表2]JAPANブランド育成支援事業で採択された西陣織とのコラボ製品

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株式会社丸八テント商会 代表取締役社長

1960年愛知県生まれ。1979年名古屋市立工芸高校卒業後、祖父が1951年に創業した丸八テント商会に入社。職人として製造現場で経験を積んだ後、海外の店舗で使用されるオーニングなどを撮影し、全6冊にも及ぶ世界のテントフォトブックを営業ツールとして自作。2005年の愛・地球博や2010年の上海万博では、大手企業の展示会ブースを手がけるなど、卓越した発想力と行動力でテント業界に新しい風を吹き込む。
いち早くインターネットビジネスを活用し、自社HPのPV数(閲覧者)は1日に800~1000人となるなど“営業しない営業”のモデルを構築、他社との差別化を図る。また、伝統技術を活かした西陣帆布、西陣カーボンをプロデュース。JAPANブランド育成支援事業として経済産業省の認定を得る。伊東豊雄が設計した、“みんなの森・ぎふメディアコスモス”のグローブに携わる。
2015年には、映画「シン・ゴジラ」の劇中で使用されたテントを施工した。“ものづくりから、ひとづくり”を信条に、これまで培ってきたプロデュース力を活かして、地域の中小企業を応援しようとミチカラプロジェクトを発足。地域の役に立てるテント屋さんを目指している。一般財団法人日本国際協力センター(JICE)国際協力機関「外国人が日本で働く」セミナー講師をはじめ、各地でセミナー講師を務める。

2000~2001年 日本テントシート工業組合青年部会長
2003~2005年 愛知万博飛行船Bプロジェクト実行委員
2016年~ 愛知県テントシート工業組合理事長

著者紹介

連載事業拡大を実現する「長期インターン」活用戦略

本連載は、2016年11月12日刊行の書籍『事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略

事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略

佐藤 均

幻冬舎メディアコンサルティング

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