前回は、インターンシップ導入で活用できる充実した「支援制度」を紹介しました。今回は、長期インターンシップで企業と学生とのミスマッチを防ぐ方法を見ていきます。

企業側は学生に「ゴール」を分かりやすく提示する

私の会社が大きく業績を伸ばすことができた長期インターンシップ制度には、一般に知られている短期インターンシップ制度とは大きく異なる点があります。

 

そのひとつが、学生、コーディネーター、企業の3者間であらかじめ半年間の明確なゴールを設定し、プロジェクトとして進めていくことです。

 

では、具体的にどういう流れでプロジェクトを定め、達成していくのか。

 

まず、長期インターンシップにエントリーした学生は事前プログラム説明会に参加し、一から長期インターンシップの意義と目的についてレクチャーを受けます。そして、過去2500人以上の経験者の実例をもとに、具体的な業務の内容を紹介されます。

 

これにより、長期インターンシップが単なる興味本位の職場体験ではないことを理解し、インターン生として、受け入れ企業のプロジェクトに参加し、目的を達成するための心構えをつくり上げるのです。

 

講師が「企業が学生に求めていること」「期間内に抜群の成果をあげられるコツ」「企業マッチングの方法」などを徹底的にレクチャーするため、企業と学生とのミスマッチを防ぐことができます。

 

学生には専属のコーディネーターがつき、企業にアテンドする前の段階で、個人の適性を見極めて細かく目標を設定します。そしてインターン中の半年間、進捗状況の確認や悩みの相談など、学生が目標を達成するようサポートします。こうしたサポートがあることで学生でありながら、プロジェクトの一員として実績を出してくれるのです。

 

さらに長期インターンシップを成功に導くためには、受け入れ企業側も学生に求めるタスクと成果を明確にすることが必要です。学生にどこまでのプロジェクトを任せ、どの程度の成果を出してもらいたいのか。ゴールを分かりやすく提示することで、学生にモチベーションを保たせることができます。

仲間同士で話し合い、時には競い合って成長していく

次に、成長のステップと段階的な役割の設定です。今、学生がどのレベルにいるのかを把握させることで、伸び悩むことがあっても次のステージまで引き上げることができます。

 

私の会社ではそれらに加えて、「学生同士がコミュニケーションを取れる環境」を用意しました。同期のインターン生を複数名で受け入れ、学生を孤立させないということです。すでにできあがっている「会社」というコミュニティの中に、学生が突然入ってくるわけですから、精神的なプレッシャーやストレスがかかります。

 

その点、学生の仲間がいれば、インターン中の悩みから将来についての不安など、話し合い、励まし合い、時には競い合って成長してくれるからです。

 

そうした成長の過程は、彼らの日報を通じて確認することができます。最初はできないことだらけで、反省点や課題点ばかりなのですが、徐々に「これができるようになった」「こうしたほうが効率がよいことがわかった」など、できることが増えていく様子を見ているのは頼もしく思うと同時に、うれしくもあります。

 

私はそうした日報に対して翌日顔を見たときに成果を褒めたり、悩みを聞いたりしてフォローをしています。また、業務をある程度覚えた学生からは日々の報告と次回のアクションを細かく報告してもらっています。その細かさは私が最初に指示をした以上となり、誰に、どんなメールを送ったか、どんな電話をかけたのか、といったことまで報告があがります。

 

彼らはみんな、自分が「期間限定」であると自覚しています。だからこそ、失敗を恐れないひたむきさと、エネルギーでどんなプロジェクトにも全力でぶつかり、突破しようとします。

 

面白いのは、学生はそれぞれインターンシップをスタートするときには「自分の成長のため」という気持ちで臨むのですが、受け入れ側が適正なハードルを設け、成長しやすい環境を整えることができれば、いつしか「結果を出して会社の役に立ちたい」という気持ちで業務にあたるようになります。

 

私自身も、そんな彼らの熱くてまっすぐなエネルギーと日々向き合う中で、彼らを一人前にしたい、結果を出して喜んでほしい、と熱い気持ちで日々の業務に取り組むことができているように思います。

 

このような互いの気持ちのぶつかり合いで長期インターンシップ生はスーパー大学生に成長していくのです。

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    本連載は、2016年11月12日刊行の書籍『事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    佐藤 均

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