税理士から「相続税0円」と聞いていたのに…父の遺産〈貯金2億円〉と〈7億円のローン付き不動産〉を子どもたちで仲良く分けたが、1年後、億ションを買った次女に税務署から“お尋ね”が届いたワケ

税理士から「相続税0円」と聞いていたのに…父の遺産〈貯金2億円〉と〈7億円のローン付き不動産〉を子どもたちで仲良く分けたが、1年後、億ションを買った次女に税務署から“お尋ね”が届いたワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税の計算は、単純な足し算・引き算ではありません。「借金が多いから税金はかからない」という素人判断はもちろん危険ですが、もっと恐ろしいのは「税理士への相談の仕方」を間違えることです。不動産の評価額など、ピンポイントで専門家に聞いても、誰が何を相続するかという「全体像」を伝えなければ、正しい税額判定は不可能です。日経マネー(編)の書籍『絶対に避けたい!損する相続実例25』(日経BP)より、A子さんの事例とともに、「マイナスの相続」に潜む落とし穴について解説します。

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「お尋ね」が落とし穴に

「予算は1億円。遺産があって」「1億円も相続すると相続税が大変なんじゃないですか?」「赤字の相続だから相続税はかからないらしいのよ」

 

それなら、ということで不動産屋に勧められるまま、A子さんは新築の億ションの購入を決めた。

 

数カ月後、A子さんの元に税務署から「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」が届いた。これは税務署が購入資金の出所を調査するもの。過去の所得隠しや、贈与があったにもかかわらず贈与税を納付していないケースを見つけるためだ。

 

申告不要と信じ切っていたA子さんは堂々とその旨を税務署に伝えた。税務署からは父の財産債務の明細の提出を求められ、よく分からぬまま、長女に作ってもらった書類をそのまま提出した。

 

すると、マイナスの相続になるのは長男だけで、長女とA子さんには相続税がかかることが判明! 7億円のローンは長男に対してしか適用されず、預金だけを相続した2人の相続財産はプラスだったのだ。

 

その時点で父の逝去からは1年以上経過していたので、相続税、無申告加算税、延滞税合わせて2500万円を支払うはめになってしまった。

【解説】1人がマイナスの相続でも他の相続人と通算できない

ADVISER:税理士法人アーク&パートナーズ 代表社員

税理士

内藤 克さん

 

今回の勘違いの要因は、亡父の財産全体について計算した点にあります。課税価格の計算は各人ごとに計算し、うち1人がマイナスでも切り捨てられて他の相続人には影響しないので、被相続人の財産全体でマイナスでも油断はできないのです。

 

長女が税理士に相談したのは不動産の評価額についてだけで、遺産をどう分けるかの情報は伝えなかったのでしょう。最初の段階で相続の全容をプロに相談すれば防げたミスです。

 

債務控除は債務を引き継いだ人のみに適用され、今回の場合、ローンはすべて長男が引き継ぐことになります。ビルの相続税評価額4億円、ローンが7億円なので、長男の相続分はマイナス3億円です。

 

この3億円のマイナスは長男の課税価格の計算の段階で切り捨てられ、ゼロとなります。つまりお父さんが「長女と次女だけに1億円ずつ財産を残した」のと同じ状態となるのです。

 

 

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※本連載は、日経マネー(編)の書籍『絶対に避けたい!損する相続実例25』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

絶対に避けたい!損する相続実例25

絶対に避けたい!損する相続実例25

日経マネー(編)

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