アルバイトやボランティアと何が違うのか?
人材不足に悩む中小企業の経営者は、若手の人材が集まらないという状況をどうやって脱け出したらよいのでしょうか。
多くの中小企業と同様に、負のスパイラルに陥っていた私の会社を救ったのは「長期インターンシップ制度」でした。この制度の導入を機に業績は右肩上がりとなり、若くて優秀な人材が集まり、海外進出も実現、わずか4年半で売り上げも150%増加し、帝国データバンクの企業信用調査で中小企業としてはかなり高得点といえる53点が付きました。
昨今、就職活動の盛り上がりとともに多様化しているインターンシップですが、インターンシップと一言で表すものには、さまざまな形態があります。まずは、その仕組みや分類について詳しく解説しましょう。
インターンシップは日本では「就労体験」と訳され、学生が企業で実務経験を積み、職業意識を高めるのが目的です。文部科学省は「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義づけています。
一見するとアルバイトやボランティアと同じように捉えられますが、何が違うのか。
それは「何に重きを置いているか」です。たとえば、アルバイトなら「収入」、ボランティアなら「社会貢献」。長期インターンシップの場合、学生に活動支援金が支払われるケースもありますが、基本的には無償であり、お金を稼ぐのが目的ではありません。
学生の多くは「就職活動」に対する悩みを抱えている
では、何のために学生は企業で〝タダ働き〟をするのでしょうか。
どうせ働くならアルバイトをして給料をもらったほうがよいはずです。勉強する時間、友達と遊ぶ時間、恋人とデートをする時間を削ってまで企業へ働きに行く理由。それは自己の成長を期待するからです。
もちろん、アルバイトやボランティアを通しても自分自身を成長させることはできるでしょう。しかしそれは「収入」や「社会貢献」という成果を目的としており、付加的に自身の成長がついてくるのです。
大学生活は社会に出るまでの猶予期間、「モラトリアム」だと表現されることがあります。
「厳しい社会に出るまで、思う存分遊んでおきなさい」
といったメッセージにも読み取れますが、
「社会に出るまでの準備期間だから今のうちに準備をしておこう」
と前向きに捉えることもできます。
すなわち十分な時間に恵まれた大学生活でどんな経験を積んでおくか。社会的モラトリアムをどう活用するかで、その先の人生が決まるのです。
インターンシップ制度を利用する学生の多くは
「自分が何をしたらよいのか分からない」
「どんな仕事が向いているのか分からない」
「働く意義が理解できない」
などの就職活動に対する悩みを抱え、インターンシップに参加することで、限られた期間で何かしらの答えを必死で摑もうとしているのです。そんな真剣で意欲にあふれた学生の選ぶ道が、インターンシップです。