ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン(編集)
データで読み解く「日本経済」のリアル【季節&気象・マインド・おもしろジンクス編】
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン(編集)
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
八ツ尾順一(著)+ゴールドオンライン(編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
「他人への遺贈」は認められるのか
Aさんは愕然としました。かつて貧乏だからと捨てた実家。しかし母は借金を完済し、財産を残していました。生前の同居の申し出は断ったAさんでしたが、いざ母が亡くなると「財産があるなら、法定相続人である自分がもらうべきだ」と主張します。海外の弟は相続放棄をしましたが、Aさんは納得がいきません。
「親は最期までなにもしてくれなかった」そう憤るAさんと、母の最期を看取ったヘルパー。ここにトラブルの火種が生まれました。
結果として、Aさんは母の財産をすべて相続することになります。
なぜなら、母が遺したのが法的な要件を満たした「遺言書」ではなく、単なる「手紙」だったからです。法的には、形式不備の遺言は無効です。また、生前にヘルパーと「死んだらあげる」という契約(死因贈与契約)を書面で交わしていたわけでもありませんでした。
皮肉なことに、母が最期に託した「ヘルパーに全財産を」という願いは、法的な知識がなかったために幻となり、実子であるAさんも、手紙の内容を知っていたヘルパーも複雑な思いをすることになってしまいました。
埋まらなかった親子の溝と、遺された者の葛藤
Aさんにとって、実家との縁を切ることは、貧困の連鎖から自分の人生を守るための唯一の手段でした。
母の手紙を読んだとき、Aさんの胸に去来したのは単純な悔しさだけではなかったはずです。「いまさら財産があるといわれても、子ども時代は帰ってこない」「なぜその努力を、もっと早く自分に向けてくれなかったのか」――そんな、やり場のない怒りと悲しみ。だからこそAさんは「せめて遺産だけでも自分が受け取るべきだ」と主張したようです。単なる金銭欲ではなく、苦しかった過去に対する精算を求めての行動ともとれます。
Aさんのように法定相続人(子)がいる場合、仮に母が「全財産をヘルパーに」という遺言を残していたとしても、子には最低限の遺産を受け取る権利である「遺留分」が認められます。Aさんが遺留分を主張すれば、ヘルパーとAさんとのあいだで、争いが生じることになります。
Aさんの母の意思表示は、孤独を埋めてくれた他人への感謝でした。一方で、Aさんの主張は、親に振り回された子としての権利の主張です。どちらの想いも切実だからこそ、感情論だけの解決は困難です。
一つの解決策としては、法的な効力を持つ「公正証書遺言」があげられます。財産の配分だけでなく、そこに「なぜそうするのか」という付言事項を添えることで、遺された人の心の負担を減らせたかもしれません。
親子の絆が形骸化しやすい現代。想いを正しく残し、争いの火種を作らないための「終活」の準備が、これまで以上に求められています。
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
共同代表
注目のセミナー情報
【国内不動産】2月14日(土)開催
融資の限界を迎えた不動産オーナー必見
“3億円の壁”を突破し、“資産10億円”を目指す!
アパックスホームが提案する「特別提携ローン」活用戦略
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

