今回は、せっかく入った介護施設でも、退去しなくてはいけなくなってしまうケースについて見ていきます。※本連載は、介護施設の専門家である齋藤直路氏の著書『はじめてでもわかる!介護施設&老人ホームのさがし方・選び方』(サンライズパブリッシング)の中から一部を抜粋し、住む介護施設の特徴や選ぶ際のポイントを紹介します。

健康状態や認知症の悪化、経済的要因が主な理由

問:いい施設だと思って入居したのに、退去しなければならないことはあるの?

 

答:入居者の状態の変化で施設が対応できなくなった場合にはあり得ます。

 

<施設を退去する場合>

 

①健康状態の変化

健康状態が悪化し、医療処置が必要になった場合は退去しなくてはいけない場合があります。看護師などが常駐しないためです。

 

また、入院も短期ならば問題になりませんが、長期入院で退去となる場合があります。

 

②認知症の進行

健康状態は悪くないものの認知症が悪化して他の入居者とトラブルを起こしたことが原因で退去となることがあります。

 

認知症ケアがきちんとできていると防げる場合もありますが、精神的に混乱すると他人に対して攻撃的になるケースがあります。ある程度の粗相などであれば大目に見てくれますが、「お金を盗まれた」などと主張して他の入居者の居室を探させたりすると、施設側としても退去を命じるほかにありません。

 

③経済的要因

そのほか多いのは、毎月のお金を払えなくなった場合です。ただし施設に入居する際には、保障人を立てますので親の口座からお金が下りなくなったら、ただちに退去ということにはなりません。保障人になっている人(子)に督促がいきます。

 

なお介護保険施設に入居している場合は、特定入居者介護サービス費といって費用負担を減額するしくみがあります。月々の支払いが苦しそうであれば申請することをお勧めします。

退去した事例は重要事項説明書で確認可能

重要事項説明書で退去者の状況を確認できます。重要事項説明書には直近1年間に退去した者の人数と理由を確認できます。例えば以下の表のようなものです。

特定入居者介護サービス費

介護保険施設に入居する費用を減額する仕組みです。他の制度同様、所得に応じて金額が異なります。デイサービスや有料老人ホーム、グループホームは対象外です。

定番必携 はじめてでもわかる! 介護施設&老人ホームのさがし方・選び方

定番必携 はじめてでもわかる! 介護施設&老人ホームのさがし方・選び方

齋藤 直路

サンライズパブリッシング

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