個室では部屋に「こもりきり」になってしまう懸念も
問:個室に入ることを「前提」にして入居施設を探すべきなの?
答:絶対ではありません。相部屋ならではの良さもあり、金銭的な問題もあります。
<個室のメリット・デメリット>
以前は、有料老人ホームの居室は1人1室の個室、介護保険施設は広い4人部屋、というイメージでした。最近は厚生労働省が、プライバシー尊重のため新設する施設は個室中心にと指導しており、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などで個室が増えています。結果、施設の定員が少なくなり、入居待ちに、という事態もおきています。
一見、個室のほうが良いイメージはありますが、そうとは言い切れない面もあります。1人きりだとリハビリに取り組む気力が萎えてしまったり、また個室に籠もりきりになると急速に身体機能が衰えます。
一番はお金の問題です。安いというイメージの介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)でも個室では諸費用を入れると13万円前後となる場合もあります。介護老人保健施設になるとさらに高額な場合もあり、入居者の要望が強ければ別ですが、退院後の一時的に老人保健施設に入る場合などは相部屋を選択肢に入れてもよいでしょう。
見学や体験入居など、自身の目で確認することが大切
問:ケアマネジャーのすすめる施設を選べば、間違いはないの?
答:参考にはなりますが、人によって合う、合わないがでてくることがあります。
<ケアマネジャーと介護施設>
既に契約しているケアマネジャーがいて、ヘルパーやデイサービスなどを利用している場合、介護施設の選択もケアマネジャーに相談するということができます。
また、介護度が重くなったりするとそれとなく施設に入居することをケアマネジャーから勧められることもあります。
ケアマネジャーは身近で頼りになる
舵取りとしての役割
ケアマネジャーはその地域の介護施設の情報に精通している上、ある程度、財政的な状況も把握しています。
したがってケアマネジャーがお勧めする施設は大きくはずれることはないと考えていいでしょう。
しかし、ケアマネジャーは多忙であり、実は地域内すべての施設に行ったことがないケースもあります。ある方にとって合う施設が、誰にでも同じであるとは限りません。雑誌に掲載された介護施設のランキングが参考程度にしかならないのと同様です。
やはり見学や体験入居など自身の目で確認することが大切です。
情報ソースとして
ケアマネジャーは、新規にオープンする施設の情報なども教えてくれます。こうした情報はネットなどでは収集できないので貴重です。
ただし、ケアマネジャーが施設と関係がある場合、どうしても公平な目で選んでいない可能性もあります。施設の理念や介護スタッフの経歴などを慎重に確認することが必要です。
新規の施設は建物や設備が新しくて気持ちがいいものです。また入居者で空室を埋めたいので入居一時金をディスカウントしてくれることもあります。その反面、サービスレベルの問題もあります。オープン直後の飲食店に行って、料理が出てくるまで長い時間待たされるという経験はあると思います。飲食店であれば笑い話で済みますが、施設であれば大きな問題に繫がります。
<紹介センターを利用する>
民間の紹介センターに依頼するという方法もあります。老人ホームの紹介センターとは、無料で施設さがしを手伝ってくれる業者です。最近ではWebサイトを開設している紹介センターもあります。多数の施設の情報を掲載し、問い合わせのためのフォームがあります。
ただし紹介センターは相談者からお金をとらずに入居した施設の入居金の一部が成功報酬で支払われるようなモデルとなっています。したがって支払能力がある大手の施設を優先的に紹介されることがあります。紹介センターが中立的でないこともあるという点に注意しましょう。