様態が悪化した際の医療措置について確認する
問:契約の際に注意すべきこと、知っておくことはありますか?
答:施設ごとに異なります。施設管理者に気になる部分を質問しながら契約しましょう。
<入居契約の手順>
見学、体験入居を経て、「ここならば」と思われる施設がみつかったら、契約へ進みます。
通常は、契約の前に施設側からの面談があります。施設長やケアマネジャーが心身の状況などを確認し、入居しての生活が支障なく行えるか判断します。問題がなければ、契約日および入居日についての連絡が入ります。
身元引き受け人
契約の際には、「身元引き受け人」(身元保証人)が求められる施設が大半です。身元引き受け人は、支払いが滞った場合の金銭補償や入院で緊急対応が必要になったとき、医療処置の判断などをします。1名でなく2名必要な施設もありますので、契約前に決めておかなければなりません。
身元引受人は通常、子が担うことが一般的です。病院への入院時の保証人と異なり、長期にわたる可能性がありますので兄弟、親族間でよく話し合う必要があります。
契約の立会い
契約時には重要事項説明書の説明を受け、同意すれば署名・押印することになります。
このあたりの流れはマンションを購入するときなどと同じです。この席に営業担当者しかいないのは問題です。その施設で亡くなるかもしれないですし、金額も施設によっては1000万円を超えることもある重要な契約です。施設管理者にも立ち会ってもらいましょう。
施設の設備やルールについて些細なことでも気になる点は明らかにしておきましょう。
忘れずに聞いておくこと
確認すべきことは様態が悪化した場合、どのような医療措置がとられるかです。かけつけてくれる医師や搬送、入院する病院なども確認しましょう。
また緊急時に連絡をくれる主担当者の名前を控えておきましょう。万が一、電話やメールで応答できなかったとき、どのように連絡するのかといったことも伝えておきます。
入居契約書の一般的な内容とクーリングオフ制度
契約を交わす際に必要な書類
・入居申込書
・入居契約書
・重要事項説明書
・管理規定など
入居一時金のクーリングオフ
万が一、なじめなかったなどの理由により短期間で施設を出る場合は、90日以内であれば入居一時金が戻ってくることになっています。
このクーリングオフの制度は、老人福祉法という法律で定められています。
入居までの流れ
兄弟で情報を共有する
兄弟がいるときは、相談しながら施設探しをしましょう。誰かが勝手に話を進めてしまうと、費用を分担する際、払いたくないといった声が出る恐れがあります。
このことが後に相続争いにまで繫がることもあります。
小規模宅地等の特例は、引き続き活用できる場合も
親が老人ホームに入っても相続税の優遇制度は使える
親と同居している兄弟がいると相続税の優遇制度が使えなくなることを理由に、介護施設に入ることを反対するケースがあります。小規模宅地等の特例といって親と同居していた場合、その家と土地にかかる相続税が大幅に割り引かれる制度があります。
親が老人ホームに入ったらといって、この優遇制度が使えなくなるわけではありません。場合によっては使えることもありますので、税理士などに確認してみる必要はあります。
外出・面会のチェック項目
●1人での外出を認めているか?
●入居者が外泊することはできるのか?またその手続きは?
●家族との面会時間は決められているか?
●家族が泊まることができるのか?またそのための手続きなども必要なのか?