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フィリピン「三位一体」の国家戦略
フィリピンが今、東南アジアにおけるクリーンエネルギー投資の要として脚光を浴びています。政府が掲げる「2030年に再生可能エネルギー(RE)比率35%、2040年に50%」という野心的な目標は、大胆な規制緩和、破格の優遇税制、そして送電網(グリッド)の抜本的近代化という三位一体の戦略によって、加速度的に進展しています。
特に2022年の再エネ事業への外資出資規制(40%上限)の完全撤廃は、投資環境を劇的に刷新しました。100%の外資保有が可能となったことで、グローバル資本が直接、比国内のエネルギー転換を主導できる強固な土壌が整ったのです。この歴史的な転換期を受け、米国のエンジニアリング大手ブラック&ヴィーチ(Black & Veatch)が攻勢を強めています。
同社はフィリピンを「ASEANで最も有望な市場の一つ」と位置付け、1960年代から現地で活動。すでに計27GW相当のプロジェクト実績を誇りますが、さらなる体制強化に向け拠点機能を拡充させています。政府の「グリーンエネルギー・オークション(GEA)」を通じ、2030年までに20GW超の新規容量導入が見込まれる中、同社は設計から建設までインフラ資産の全サイクルを支援する方針です。これは、比国のエネルギー転換が「単なる発電所建設」から、高度な技術力を要する「次世代インフラの構築」フェーズへ移行したことを示唆しています。
こうした事業拡大を強力に後押しするのが、最新の法人税改革法(CREATE MORE法)等に基づく世界最高水準のインセンティブです。具体的には、営業開始から最長7年間の法人所得税免除(ITH)が適用されるほか、免除期間終了後も法人税は10%に軽減されます。さらに、再エネ発電による売電や設備購入には付加価値税(VAT)0%が適用され、排出権取引(カーボンクレジット)による収益も完全に非課税となります。これらの措置は、初期投資が嵩みがちな再エネプロジェクトのキャッシュフローを劇的に改善させる強力な武器となっています。
