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国家信用と株式市場の相関関係
2026年2月10日、指数算出大手のFTSEラッセルは、翌月に予定していたインドネシア株式指数の定期見直しを延期すると発表しました。この決定は、単なる事務手続き上の遅延に留まりません。その背景には、インドネシア証券取引所(IDX)が進める市場改革において、企業の「フリーフロート(浮動株)」比率の算出に関する透明性が国際基準に達していないという深刻な課題があります。
投資家にとって、指数は市場の「正確な縮図」でなければなりません。浮動株比率に不透明さが残ることは、投資資金が実態以上に特定企業へ偏るリスクや、流動性不足の懸念を意味します。今回のFTSEの判断に先立ち、MSCIも同様の懸念を表明しており、インドネシアの市場管理能力に対する国際的な不信感が浮き彫りとなりました。
ここで重要となるのが、国の信用格付けと株式市場の密接な連動性です。現在、ASEAN主要国の市場分類では、シンガポールが唯一の「先進国」であり、フィリピン、タイ、マレーシア、インドネシアは「新興国」に位置付けられています。一方、ベトナムは「フロンティア市場」から「新興国」への昇格を伺う構えです。
フィッチ・レーティングスによるソブリン格付けを見ると、フィリピンは「BBB+(安定的)」を維持し、インドネシアの「BBB」を一段階上回っています。この格付けの差は決定的な意味を持ちます。格付けが高い国ほど、政府や企業は国際市場で低金利での資金調達が可能となります。この資本コストの抑制が企業の設備投資を促し、将来の利益成長期待、すなわち株価の上昇へと繋がるのです。
対照的に、インドネシアのように指数の透明性が疑われ、格付けに停滞や引き下げ圧力が生じる場合、投資家は「リスクプレミアム」を要求します。これが資本コストを押し上げ、結果として株価指数を下押しする重圧となります。
フィリピンへの波及…連れ安のリスクと再配分の好機
今回のインドネシアの混迷は、隣国フィリピンに二面性の影響を及ぼします。
短期的には「ASEAN一括り」による連れ安のリスクです。グローバルな機関投資家は、東南アジア全体を一色のアセットクラスと捉える傾向があり、域内最大市場であるインドネシアの不透明感は、地域全体からの資金引き揚げを誘発しかねません。
しかし長期的には、「代替投資先」としてフィリピンの優位性が際立つ可能性があります。フィリピン証券取引所(PSE)は、近年のデジタル化や開示ルールの厳格化により、相対的に高いガバナンス評価を得ています。インドネシアで浮動株算出が難航するなか、透明性の高いフィリピン市場へ資金をリバランス(再配分)する動きは、極めて合理的な選択といえます。
