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老後資金1億円は「おおむね妥当」な見積もり額
「老後資金は1億円必要」とよくいわれます。たとえば夫婦の生活費が毎月25万円だとすると、1年で300万円。32年間で9,600万円になり、プラス400万円は葬儀費用という計算です。
これは60歳で定年退職してから女性の平均寿命(正確には平均余命)より少し長生きするという前提の試算ですが、医学の進歩で平均寿命が延びるかもしれず、平均寿命より長生きする可能性もあることを考えると、おおむね妥当な見積もりでしょう。
こう聞くと「自分は1億円もの預金を持っていないが、大丈夫だろうか」と心配になる人も多いでしょうが、落ち着きましょう。現役時代に1億円を蓄えていた人は非常に少ないはずですが、実際多くの高齢者はなんとか暮らしているのですから。
でも、普通の会社員なら「年金だけ」でなんとか暮らせる
サラリーマン(男女を問わず、公務員等を含む。以下同様)は、公的年金が比較的充実しています。たとえば、標準的なサラリーマンと専業主婦(夫)の夫婦の場合、40年間にわたって働くと、老後は夫婦あわせて月23万円程度の公的年金が受け取れます。
23万円というと、定年退職後、年金支給開始の65歳まで働いて生活資金を確保すれば、その後は年金だけでなんとか暮らしていける金額です。少子高齢化による働き手不足のいま、生活費を稼ぐ程度の仕事であれば見つけるのも難しくはないでしょう。
目安としては、退職前日に借金がなければ(借金があっても金融資産と同程度であれば)、そして老後に住む家があれば、あとはなんとかなるというイメージです。退職金が出たら、それを少しずつ取り崩して老後のささやかな贅沢に使えばいいですし、退職金が少なければ贅沢をせずに倹約して暮らせばいいのです。
数年前に「年金だけでは老後資金が2,000万円不足する」といった報道が話題になりましたが、あれは誤解です。実際には、「平均的な高齢者は老後資金を持っているので、それを取り崩しながらささやかな贅沢を楽しんでいる。その結果として、年金プラス2,000万円だけ老後に使っている」というだけのことです。
老後資金がなければ、年金だけで質素に暮らせばいいのです。
定年ナシの自営業者は、サラリーマンより安泰?
一方、自営業者は、サラリーマンに比べ公的年金があまり充実していません。とはいえ、若い頃から国民年金の保険料をきちんと納めてきた人であれば、夫婦で毎月14万円程度の年金を受け取れます。この月14万円が老後資金の重要な柱となることは疑いようがありません。
サラリーマンの場合、定年後は再雇用などで収入が激減する場合も多いのですが、自営業者には定年がないため、元気である限り何歳になっても現役として働き続けることができます。
今後寿命が延びても、健康寿命も同じだけ延び、その間働くことができれば、「老後」は延びません。また、年金を受け取りながら稼ぎ続けることでさらに老後資金が増えていきますから、そういった意味では老後はかなり安心かもしれません。
ただし、体が弱い人や、就職氷河期に正社員になれずアルバイトで生計を立ててきた人などは、老後の生活費に苦労する可能性が高いと考えられます。そのような場合には、早めに行政の支援制度などについて相談してみるといいかもしれませんね。
働けるうちは「年金を繰下げる」という選択肢もアリ
老後の生活資金を増やすうえでは、年金の受け取り開始時期を遅らせる「繰下げ受給」も検討に値する選択肢です。生活費を自分で賄えているあいだ年金を受け取らずに我慢すると、その後受け取れる年金額が増やすことができます。
たとえば、受け取り始めるタイミングを65歳からではなく70歳からにすれば受給額は42%増えます。老後の生活の安心感はおおいに増すでしょう。
そのうえで、生活を見直すことも重要です。たとえば、定年退職後も生命保険の保険料を払い続けている高齢者も多いようですが、お爺さんに万が一のことがあっても、お婆さんは金銭面で困ることはほとんどありません。お爺さんが受け取った退職金を相続するからです。それならば、生命保険料の支払いをやめるのが合理的な判断といえます。
また、都会に住んでいる人は、自家用車を手放して公共交通機関を利用することも検討してはいかがでしょうか。車の維持費は買い替え費用まで含めるとかなり高額になるため、それを不要にするだけで大きな節約になります。
筆者は自家用車を手放し、相当贅沢にタクシーを使いながら生活していますが、それでも自家用車を持っていたときよりは費用負担が少ないと感じます。
こうした努力や工夫をしてもなお生活費が不足する場合には、ビールを発泡酒に切り替えるなどの節約等の節約が必要でしょうが、過度な節約は心の余裕を失わせますので、可能な限り生活費の見直しによって老後資金の目処が立つといいですね。
生活費の見直しについては別の機会に詳述します。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
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塚崎 公義
経済評論家
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