(※写真はイメージです/PIXTA)

かつては富裕層の心配事だった「相続税」ですが、近年では法律の改正により、一般家庭でも課されるケースが増えています。しかし、資産の規模によっては、せっかく相続対策をしても、あまりメリットが得られないケースもあるのです。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

相続財産1億円程度なら、相続税はそれほど怖くない

相続税は怖い、と思っている人は多いようです。「相続が3回続くと、どんな金持ちでも貧しくなる」などと言われていることも影響しているのでしょう。もっとも、相続税を本気で怖がるべきなのは大金持ちだけで、庶民には関係のない話ですし、相続財産1億円程度の「上級庶民」にとっても、相続税はそれほど怖い存在ではありません。

 

ちなみに、都心のマンションが値上がりしていることから、マンション所有者は「自分も相続税が心配だ」と考えはじめているかもしれませんが、所有する不動産の時価と相続税評価額はそれなりに開いているケースも多いようなので、一度調べてみるといいかもしれません。相続税を怖がる必要がないと知って安心する人が多いでしょうが、「自分は税務署から上級庶民と見なされていない」と落胆する人もいるかもしれませんね(笑)。

 

たとえば、遺産が相続税評価額1億円で法定相続人が子ども2人と配偶者であった場合の税額を計算してみると、315万円です。

 

配偶者がおらずに子ども2人だけが法定相続人であった場合には、少し高くなりますが、それでも770万円程度(遺産の8%弱)です。限界税率(遺産が100円増えた時に増える税額)はもう少し高いですが、それでも大したことはありません。

 

額に汗して働いて稼いだ給料に対する所得税よりも、タナボタの相続税の方が税率が低いことに筆者は不公平感を持っており、相続税率を引き上げるべきだと考えていますが、その話は別の機会にするとしましょう。

相続税対策の「コスト」と「リスク」に注意

相続税対策として生命保険に加入する(将来の被相続人が自分で生命保険料を支払う)人は少なくありません。生命保険は法定相続人1人あたり500万円まで相続税が非課税だからです。もっとも、庶民には関係のない話ですし、上級庶民レベルであれば節約できる相続税額は大したことはありません。本当の大金持ちにとってはメリットがあるのでしょうが、彼らは500万円などという金額には興味がないかもしれませんね(笑)。

 

一方で、保険は損な取引です。顧客の払った保険料の中から保険会社のコストと利益を差し引いて客に保険金を払っているわけですから。「自分が死んだら遺族が路頭に迷うだろうから、確率的には損であることを知っているが、生命保険に加入せざるを得ない」という人は、相続税には縁がありませんし、相続税を気にするような人は自分が死んでも遺族が路頭に迷うことはないので生命保険は不要なのです。世の中、うまくいきませんね(笑)。

 

相続税対策として貸家を持つ人もいるようですが、これも慎重に検討しましょう。家賃を住宅購入代金で割ってみると、利益率が高いように見えますが、家が古くなると安くしか売れなくなりますし、借家人が交代するたびに壁紙の張り替えが必要になったりします。

 

少子高齢化で人口が減っていく社会においては、不動産価格が下がっていくかもしれませんし、空き家が増えて家賃水準が下がっていくかもしれません。とくに、結婚する若者が減ると、新しく家を借りる人が減るでしょうから、都心はともかく郊外や地方の貸家にはリスクが大きいと思っておいた方がよさそうです。

上級庶民は暦年贈与等で十分

上級庶民の節税対策は、暦年贈与と生活費支援で十分だ、と筆者は考えています。毎年110万円までは贈与税がかからないので、相続人が3人いると10年間で相続財産を3,300万円減らすことができます。もっとも、税務署から「10年前に1,100万円贈与する契約が締結されていて、10年かけて履行されたのだろう」などと言われないための工夫は必要です。たとえば、毎年贈与の金額と時期を少しずつ変えてみるとか、毎年111万円贈与して贈与税を1,000円支払う、といった工夫です。

 

子どもたちの生活費を親が負担しても、通常の範囲内ならば贈与税がかからない、ということも利用しましょう。クレジットカードの家族カードを作って子どもたちに渡し、日常生活の費用をそれで払わせるのです。もっとも、子どもたちが贅沢をはじめないように監視する必要はあるでしょう。

 

上記のような工夫を考えるに際しては、上級庶民も税理士に相談してみるとよいかもしれません。気づいていなかった節税方法を教えてもらえたり、反対に、思わぬ失敗を予防してもらえるかもしれません。わずかな相談料で得られるメリットは意外と大きいかもしれませんよ。

 

 

本稿は以上ですが、相続税対策等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

 

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