AI特許で日本は「周回遅れ」の衝撃…中国は米国の8.5倍、特許庁調査で判明した厳しい現実

特許庁『AI関連発明の出願状況調査(国際編)』を紐解く

AI特許で日本は「周回遅れ」の衝撃…中国は米国の8.5倍、特許庁調査で判明した厳しい現実
(※写真はイメージです/PIXTA)

AI技術の進化が加速するなか、特許出願をめぐる国際競争も熾烈さを増しています。特許庁が最新調査で明らかにしたのは、中国がAI特許出願数で米国の8.5倍という圧倒的な存在感を示し、韓国も急成長を遂げる一方、日本は出願件数や成長率で大きく後れを取っているという厳しい現実でした。世界のAI特許勢力図が大きく塗り替わるなか、日本はどのような立ち位置にあり、今後どのような戦略が求められるのでしょうか。

世界で進化するAI特許、日本の立ち位置は?

人工知能(AI)関連技術は、今や国際的な技術覇権争いの焦点となっています。

 

そのようななか、特許庁が2025年6月に発表した『AI関連発明の出願状況調査(国際編)』は、AI分野における特許出願の国際的動向を浮き彫りにしました。今回の調査では、2015年以降に出願されたAI関連特許を対象に、8つの技術領域(AIコア、画像・映像処理、自然言語処理、ニューラルネット、CNN、RNN/LSTM、深層強化学習、Transformer)に分類し、主要国の出願件数や技術トレンドを比較しています。

 

その結果、AI技術の研究開発がグローバルに加速している一方で、日本は一部の分野で後れを取っている現状も明らかとなりました。特に特許出願数では中国が圧倒的なリードを見せ、米国・韓国がそれを追う構図になっています。では、AI特許の国際的な勢力図はどのように変化しているのでしょうか。

中国がAI特許の覇者に、米国の「失速」と韓国の台頭

AIコア技術における特許出願件数では、中国が米国の約8.5倍となる約44万件を記録し、圧倒的な存在感を見せています。特にTencentやBaidu、State Gridなどの中国企業・大学が出願上位を占めており、国家規模での戦略的投資が伺えます。AIコアに加え、画像・映像処理や自然言語処理でも中国の出願数はトップであり、技術領域を問わず総合的に強さを発揮しています。

 

一方で、米国は2020年をピークに出願件数が減少傾向にあります。GoogleやMicrosoftといった大手が依然として存在感を保つものの、企業による知財戦略の「クローズ化(秘匿化)」が進んでいる可能性も考えられるでしょう。つまり、特許公開ではなく、企業内にとどめる方向にシフトしているのかもしれません。

 

韓国は特に映像処理や医療診断へのAI応用で顕著な成長を見せており、米国に肉薄する勢いを持ちます。SamsungやLGなどの総合電機メーカーが中心となり、出願数・技術力ともに着実に伸ばしている点は注目に値します。

 

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