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ドケチで離婚、一人暮らしをしていた父
元経理部長の中村修一さん(仮名/68歳)は、地方都市で静かな一人暮らしを送っていました。かつては家族がいましたが、娘の茉奈さん(仮名/38歳)が就職して家を出たのと同時に、妻から離婚を切り出されています。
離婚原因は、修一さんの「度を超えたケチぶり」でした。結婚前から、買い物のレシートは一枚一枚電卓で入力し、出納帳を手書きで管理。食費や日用品の支出が少しでも増えると、「これはなんだ」「なぜ必要なんだ」と問い詰める日々。それは友人付き合いや、たまの外食にまでおよび、妻にとっての生活は、常に監視されているような息苦しい監獄に等しかったのです。
茉奈さんの記憶にも強く残っているのは、指定の有料ゴミ袋を巡る父の執念です。実家の地域ではプラスチックゴミの廃棄に有料袋が必要でしたが、修一さんは一番小さくて安い「5リットル4円」の袋しか買いません。家中のプラスチックゴミをその袋に収めるため、豆腐や納豆のプラスチック容器をすべてハサミで細かく切り刻み、パズルのように隙間なく詰め込むのが日課でした。それを妻にも強制させていたのを鮮明に覚えています。
「家計を守るためだ」修一さんはそういっていましたが、妻の心は完全に離れていました。
離婚から15年。父の住む家から比較的近い地域で暮らす茉奈さんは、すでに結婚し家庭を持っています。年に数回、孫をみせにいく程度の関係でしたが、父が経済的に困ることはないだろうと考えていました。
「だって、あんなにケチだったんだから……」老後資金のことなど、まったく心配していなかったのです。
ドケチ父の“まさかの自己破産”
茉奈さんの認識が根底から覆されたのは、修一さんが定年退職して3年が経ったころでした。
「お父さん、自己破産したんだ……」父から引っ越しの連絡を受けたときにそう告げられ、茉奈さんは言葉を失いました。
(あのお金に厳しい父が。そうとう貯め込んでいただろうに。なぜなの?)
その裏には、誰にも明かしていなかった「秘かな献身」が隠されていたのです。

