MBOを活用した具体的な取引方法
MBOでは、まず投資ファンドが出資して受け皿会社を設立します。銀行から借入れを行い、資金の50%〜80%を借入金でまかないます。次に、受け皿会社が投資先の株式を取得します。上場会社の場合、株式取得は公開買付け(TOB)が必要です。
株式を100%取得した後、受け皿会社と投資先の会社を合併させることで、借入金は投資先の会社の債務となります。つまり、借入金の返済は投資先の会社が稼ぐお金で行われ、投資ファンド自体は債務を抱えることがありません。
投資ファンドが狙う会社の特徴
投資ファンドがMBOの対象として狙う会社には、主に以下の3つの特徴があります。
利益とキャッシュ・フローが安定している会社
借入金の返済が必要なため、毎年の業績が安定している会社が好まれます。設備投資が多いベンチャー企業や業績変動が大きい会社は向きません。
多額の現金や金融資産を保有している会社
借入金の返済資金として活用できるため、余剰資金の多い会社は投資リスクが低くなります。
株価が低い上場会社
株価が低いタイミングでの買収は、投資額を抑えられるため効率的です。特に無借金でPBR(株価純資産倍率)が低い会社はお買い得といえます。
経営者がMBOを相続税対策に活用するケース
MBOでは、経営者が自社株式に投資するケースもあります。この目的は相続税の節税です。上場株式を非上場化することで、相続税評価額の計算方法が変わり、税額が大きく下がる可能性があります。
例えば、企業価値100億円の会社を経営者が買収し、自己資金50億円、借入金50億円で取得したとします。非上場化により株式の相続税評価額は50億円以下となり、さらに借入金50億円を差し引けば、株式の評価額は実質ゼロになるケースもあります。このタイミングで子どもに株式を贈与・相続すれば、相続税はかかりません。
MBOは投資ファンドにとってリターンを最大化する手法であると同時に、経営者にとって相続税対策としても活用できる戦略です。ただし、借入金を返済できる安定した会社であることが前提であり、取引は慎重に行われます。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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