(画像はイメージです/PIXTA)

事業承継は、単なる経営者の交代ではありません。本来の目的は、事業を「引き継ぐ」ことではなく、「長期的に存続させ、成長させていく」ことにあります。そのため、後継者には、先代が築いてきた事業価値の本質を理解し、環境変化に適応させながら発展させていく経営能力が求められます。経営戦略の再構築や経営資源の再定義、そして企業価値・事業価値を意識した意思決定が不可欠です。事業承継を経営戦略の観点から捉え直し、後継者育成や権限の委譲、イノベーション、企業価値評価といったテーマを通じて、事業承継の本質について公認会計士の岸田康雄氏が解説します。

事業承継の目的と経営戦略

事業承継の目的は、単に経営者の肩書きを次世代に引き継ぐことではありません。真の目的は、「事業を長期にわたって存続させ、さらなる成長につなげること」にあります。そのため後継者には、これまで培われてきた事業価値の源泉を理解し、それを活かしながら、変化する経営環境に適応していく力が求められます。

 

経営戦略とは、将来のあるべき姿と現状とのギャップを埋めるための長期的な設計図です。市場環境や技術、社会構造が急速に変化する現代において、環境変化への対応力こそが、事業を持続させる最大のカギとなります。

企業の成長を支える「経営戦略」

経営戦略は、大きく以下の3つに分類されます。

 

1.企業戦略

全社的な視点から、事業領域の選択や経営資源の配分を決定する戦略です。どの事業に注力し、どこから撤退するのかといった根本的な判断が含まれます。

 

2.競争戦略

個々の事業において、競合他社に対してどのように優位性を築くかを定める戦略です。差別化、コスト優位、集中戦略などが代表例です。

 

3.機能要素別戦略

営業、製造、人事、財務など、職能ごとに具体化される戦略で、企業戦略・競争戦略を現場で実行する役割を担います。

 

企業は、外部環境と相互に影響を及ぼし合う「オープンシステム」として存在しています。そのため、外部環境の変化に対して常に感度を高めておく必要があります。

 

経営環境は、以下の2つに分けて整理できます。

 

1.マクロ環境

政治・経済・社会・技術といった要因(PEST要因)が企業活動全体に影響を与えます。

 

2.ミクロ環境

競合他社、顧客、仕入先など、企業が直接向き合う市場環境です。ここでは競争関係や取引関係の構築が重要になります。

 

また、経営戦略を策定する際には、以下のようなフレームワークが活用されます。

 

・3C分析(自社・競合・顧客)

・SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)

・ファイブ・フォース分析(業界構造分析)

 

これらを通じて、自社の立ち位置や競争優位性、外部環境のリスクと機会を可視化し、戦略の方向性を明確にします。

 

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