経営者の高齢化が進む日本では、後継者を決められないまま廃業を選ぶ中小企業が急増しています。事業承継は単なる社長交代ではなく、「人」と「資産」をどう引き継ぐかという経営そのものの問題です。非上場株式の評価、自己株式の活用、持株会社スキーム、事業承継税制まで、廃業を回避するために経営者が知っておくべき実務と税務の要点を公認会計士の岸田康雄氏が解説します。
後継者が決まらないまま迎える「廃業」という選択
日本では、多くの中小企業が後継者を定めないまま経営者の高齢化を迎えています。その結果、業績が安定しているにもかかわらず、事業を継続できずに廃業を選択するケースが増えています。
背景には、親族内に適任者がいない、後継者に経営の重責を負わせたくない、株式や相続の問題が複雑で先送りしてきた、といった事情があります。後継者不足は個々の経営者の問題ではなく、日本の産業構造全体に関わる課題となっています。
事業承継というと、社長の交代を思い浮かべがちですが、それだけでは不十分です。事業承継には、「経営の承継」と「事業の承継」というふたつの側面があります。
経営の承継では、経営判断、企業理念、取引先との関係などを引き継ぐ必要があります。一方、事業の承継では、自社株式や事業用資産をどのように次世代へ移すかが問題になります。
特に日本では相続税の負担が重く、株式や不動産を多く保有する企業ほど、承継が困難になる傾向があります。
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年度経済産業省中小企業庁「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。中央青山監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント営業部、みずほ証券投資銀行部M&Aアドバイザリーグループ、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部不動産投資グループなどに在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継とM&A実務を遂行した。現在は、相続税申告と相続・事業承継コンサルティング業務を提供している。
WEBサイト https://kinyu-chukai.com/
著者登壇セミナー:https://kamehameha.jp/speakerslist?speakersid=142
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