(画像はイメージです/PIXTA)

平均年齢が「63.6歳」に達し、70代以上が3割……社長の高齢化が進むなか、経営者は「事業を続けるか、終わらせるか」の判断を迫られています。一方で、事業承継にも廃業にも、“高い壁”が存在するのが現状です。そこで今回は、多くの中小企業が直面している課題と、経営者が備えるべき“出口戦略”についてみていきましょう。公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

社長の平均年齢「63.6歳」…中小企業を襲う“出口の壁”

日本では経営者の高齢化が一段と進んでいます。東京商工リサーチ(TSR)の2024年調査によると、全国の社長の平均年齢は63.6歳に達し、調査開始以来の過去最高を更新しました。70代以上の社長も全体の3分の1を超え、事業承継が大きな社会問題となっています。

 

後継者探しに苦労する中小企業経営者は多く、特に家族経営や地場企業では「子どもが継ぎたがらない」「従業員にも適任者がいない」という声が相次いでいます。黒字で将来性のある企業であれば、外部から経営者を招いたり、M&Aによる事業譲渡も可能ですが、実際にはそうしたケースはごく一部に限られています。

 

全国の6割超が赤字…事業承継を諦め、「廃業やむなし」の声が増加

国税庁の統計によれば、全国の法人企業の約65%が赤字経営です。経営体力を失い、事業承継どころか「自分の代で会社を閉めるしかない」と考える経営者が増えています。

 

また、新型コロナ対策として導入された「ゼロゼロ融資(無利息・無担保融資)」の返済が2023年以降本格化しました。これにより、返済資金の確保が難しく、資金繰りに窮する企業が続出。政府系金融機関による支援措置もあるものの、経営改善の見通しを立てられず、廃業を検討する経営者が急増しています。

 

さらに、2023年10月に導入された「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」も、中小・零細企業には重荷となっています。課税事業者になることで経理負担や税務処理が増えることから、「それなら廃業したほうが楽だ」と判断する事業者も少なくありません。

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