相続・増資で火種が拡大…非上場企業に広がる「株主間契約」導入の動き【公認会計士が解説】

相続・増資で火種が拡大…非上場企業に広がる「株主間契約」導入の動き【公認会計士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

非上場企業を中心に、相続や第三者割当増資をきっかけとした株主間の対立が目立ち始めています。出資比率のわずかな差で経営権が大きく変わる会社法の仕組みも、こうした対立の背景にあります。このような状況を受け、トラブルを未然に防ぐために「株主間契約」を整備する動きが広がっています。本記事では、株主間契約が必要となる場面や、会社を守るために押さえておきたい主要条項について解説します。公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

株主間契約が必要となる4つの場面

株主間契約(Shareholders Agreement)とは、複数の株主が、会社運営や株式の譲渡方法などに関するルールを事前に取り決めておく契約をいいます。株主が複数存在する場合、利害関係が衝突しやすく、トラブルを未然に防ぐためにも重要な役割を果たします。

 

株主間契約が特に必要となる場面としては、次の4つが挙げられます。

 

(1)非上場会社の相続

(2)合弁会社の設立

(3)第三者割当増資による資本参加(資本提携)

(4)株式の一部売却

 

(1)非上場会社の相続

非上場会社の株式が相続によって複数の相続人に分散されると、株主構成が大きく変わります。

 

たとえば、父親が100%保有していた株式を長男・次男が50%ずつ取得すると、2人の判断が分かれた場合、役員選任や株式譲渡などで意思決定が滞るおそれがあります。こうした事態を防ぎ、スムーズに会社運営ができるよう、株主間契約でルールを定めておくことが有効です。

 

(2)合弁会社(ジョイントベンチャー)の設立

複数の企業や個人が出資して新たな事業会社を設立する「合弁会社」では、出資比率や役員選任、重要な意思決定で利害が対立する可能性があります。事業を円滑に進めるためにも、株主間契約であらかじめ協力体制や決定ルールを整備しておくことが必要になります。

 

(3)第三者割当増資による資本参加(資本提携)

会社設立後に、第三者が新たに株主として参加する場合も、既存株主との利害が衝突しやすい場面です。役員選任や株式譲渡の扱いなどについて、事前にルールを決めておくことで、トラブルを避けることができます。

 

■資本提携のメリット

第三者割当増資による資本参加は「資本提携」と呼ばれます。他人同士が資金を出し合うことで、次のようなメリットがあります。

 

  • 損失負担を抑えられる:事業が失敗しても、持分に応じて損失を分散できます。
  • 利益は分配されるが、リスクも軽減:成功しても利益を独占することはできませんが、リスクの分散という利点があります
  • シナジー効果が期待できる:複数の株主が協力することで、単独では得られない成果やスピードを得られることがあります。

 

(4)株式の一部売却

会社設立後に株式の一部を売却すると、新たな株主が加わります。既存株主と新株主の間で意見が対立する可能性があるため、役員選任や株式譲渡ルールについて取り決めておくことが必要です。

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