株主間契約が必要となる4つの場面
株主間契約(Shareholders Agreement)とは、複数の株主が、会社運営や株式の譲渡方法などに関するルールを事前に取り決めておく契約をいいます。株主が複数存在する場合、利害関係が衝突しやすく、トラブルを未然に防ぐためにも重要な役割を果たします。
株主間契約が特に必要となる場面としては、次の4つが挙げられます。
(1)非上場会社の相続
(2)合弁会社の設立
(3)第三者割当増資による資本参加(資本提携)
(4)株式の一部売却
(1)非上場会社の相続
非上場会社の株式が相続によって複数の相続人に分散されると、株主構成が大きく変わります。
たとえば、父親が100%保有していた株式を長男・次男が50%ずつ取得すると、2人の判断が分かれた場合、役員選任や株式譲渡などで意思決定が滞るおそれがあります。こうした事態を防ぎ、スムーズに会社運営ができるよう、株主間契約でルールを定めておくことが有効です。
(2)合弁会社(ジョイントベンチャー)の設立
複数の企業や個人が出資して新たな事業会社を設立する「合弁会社」では、出資比率や役員選任、重要な意思決定で利害が対立する可能性があります。事業を円滑に進めるためにも、株主間契約であらかじめ協力体制や決定ルールを整備しておくことが必要になります。
(3)第三者割当増資による資本参加(資本提携)
会社設立後に、第三者が新たに株主として参加する場合も、既存株主との利害が衝突しやすい場面です。役員選任や株式譲渡の扱いなどについて、事前にルールを決めておくことで、トラブルを避けることができます。
■資本提携のメリット
第三者割当増資による資本参加は「資本提携」と呼ばれます。他人同士が資金を出し合うことで、次のようなメリットがあります。
- 損失負担を抑えられる:事業が失敗しても、持分に応じて損失を分散できます。
- 利益は分配されるが、リスクも軽減:成功しても利益を独占することはできませんが、リスクの分散という利点があります
- シナジー効果が期待できる:複数の株主が協力することで、単独では得られない成果やスピードを得られることがあります。
(4)株式の一部売却
会社設立後に株式の一部を売却すると、新たな株主が加わります。既存株主と新株主の間で意見が対立する可能性があるため、役員選任や株式譲渡ルールについて取り決めておくことが必要です。
