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名義預金を疑われる「典型的な3つの構造」
今回のケースに限らず、名義預金が疑われるケースには一定の“型”があります。
1.通帳と印鑑を被相続人が管理している
名義が子や孫であっても、実際に親が出入金をしていれば、それは名義預金と判断されやすくなります。「通帳の場所を知っている=管理している」とみなされるのが税務署のロジックです。
2.入金の出所が被相続人に由来している
親の年金や給与、不動産売却代金などがそのまま家族名義口座に入っていれば、「資金移動の偽装」とみなされるリスクがあります。
3.贈与契約書や贈与税申告がない
「あげた」「もらった」という事実を客観的に証明する裏づけがないと、税務署への説明は困難になります。
このように、税務署は「名義」ではなく「実質」をみます。通帳の名義が誰であっても、実際の管理者が被相続人であれば、それは相続財産とされます。
名義預金を疑われないために、いますぐできる備え
税務調査の現場で感じるのは、「家族だからこそ書面がない」ことの危うさです。親が子に渡すお金、孫に贈る資金、生活費の肩代わり。どれも日常的で善意に基づくものですが、書面がなければ“贈与の証拠”にはなりません。名義預金を疑われないためには、最低限次の3つを実行してください。
〇贈与契約書を作成する:日付・金額・署名押印を明記し、1部ずつ双方で保管する。これだけで後日の説明力が格段に高まります。
〇贈与税申告を行う:「贈与が確かに行われた」という事実を未来へ残すことができます。
〇通帳と印鑑を本人が管理する:誰が管理していたかは、重要な判断基準です。親が預かっている状態は避けてください。
また、不動産売却や退職金などの大きな入金があった際には、「なにに使ったか」を通帳やメモに残しておくと安心です。「車購入」「孫の学費」「自宅改修」など、簡単なメモでも有効です。
