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ふらっと実家に帰省して目の当たりにしたものは…
都内の企業で働く小田切智咲さん(仮名・40歳)は、年収650万円。半年ほど前に転職したばかりで慣れない業務に追われ、心も体もすっかり疲れていました。「ちょっと休みたいな」「今さらだけど、東京疲れた」――そう思い立ち、三連休を利用して高崎の実家へ。帰省を決めた当日に実家に電話をしました。久しぶりの娘からでの電話に母は驚きつつも「いつでも帰ってきなさい」と優しい言葉をかけてくれました。
玄関の扉を開けた瞬間、ほのかに漂う畳の匂いと懐かしい風景が迎えてくれました。けれど、少し違和感も覚えます。洗面所の電気がつかず、廊下の床はきしむ音。壁紙の色もすっかりくすんでいました。
智咲さんは「あれ? こんなに古い家だったっけ?」と感じずにはいられませんでした。
実は「実家」と言っても、正確には智咲さんの「祖母の家」です。3年前に祖母が施設に入った後、80歳の父と75歳の母が暮らしています。祖母宅を「管理する意味もあって」とそのまま住み始めたそうですが、築50年の家はあちこちにガタがきていました。
仏壇に感じた異変
決定的だったのは、仏壇でした。かつては母が市場で菊や季節の花を買ってきて「今ってお盆だっけ?」と思うほど、仏壇には花が溢れていたのに、その日は庭に咲いた花がまばらにさしてあるだけ。なんとなくお供えのお菓子も以前に比べて減っているし、ランクが落ちている気がします。不思議に思って理由を尋ねると、母は少し照れたように笑いました。
「この前ね、トイレをリフォームしたの。思ったよりお金がかかっちゃって……。だから、今はちょっと節約中なの」
両親の年金はふたり合わせて月15万円ほど。祖母宅の修繕費がかさみ、ここ数年は貯金を取り崩して生活しているといいます。公務員として働いていた祖母の年金も月に17万円あるといいますが、まるまる施設への支払いに消えるどころか年金だけでは賄えず、数万円ずつ祖母の貯金から取り崩している状況です。
