定年から2週間後、妻からの“卒婚宣言”に唖然
「これからは別々に暮らしたいの」
定年退職からわずか2週間後、お昼ごはんを食べ終わった後の食卓。妻の美代子さん(仮名・65歳)からそう言われたのは、佐藤正一さん(仮名・65歳)。40年以上都内のメーカーに勤め、つい先日定年を迎えたばかりでした。
突然の申し出にショックを隠せません。「急になんだ、離婚したいのか?」そう問うと、美代子さんからは意外な返答。
「離婚したいわけじゃないの。今さら揉めたくない。子どもや親のこともあるし」
そう静かに話す妻。正一さんは驚きつつも、心当たりがないとはいえませんでした。正一さんは会社員として働き続け、家のことはほとんど妻に任せきり。平日は朝早く家を出て、帰宅は夜遅く。休日も会社の付き合いやゴルフが多く、子どもが独立してからは特に、夫婦の会話らしいものはほとんどありませんでした。
それでも、夫婦の暮らしは問題なく続いてきた――そう思っていたのは、正一さんだけだったのでしょう。
美代子さんは違いました。リタイアした後、正一さんは一日中家にいます。何もせずゴロゴロする夫と、会話もない毎日。昼ご飯を作る手間が増えるというオマケ付き。美代子さんは、この2週間で心を決めたのです。
一緒に暮らして同じ夫婦生活を続けたくない。しかし、お互いに離婚はデメリットがある。ひとまず別居という形で、それぞれ暮らしていきたい。それが美代子さんの希望でした。世間でいう「卒婚」です。
「そんな……」
それでも、一緒に暮らしたくないときっぱり宣告をされた以上、無理に暮らしていても、苦しいだけ。美代子さんの希望を受け入れることにした正一さんは急転直下、“1人の老後”という現実に直面することになりました。
