11月はポジション調整が本格化しやすい
11月の予想レンジは「148~156円」
これまでみてきたように、一般的に「高市トレード」とされる高市新政権誕生前後の円一段安は、日米の金利差では説明できない動きであり、それ以前から続いていた日本の財政リスクへの懸念による円売りの影響が大きかった可能性があります。ただし、そうした円売りも最近にかけて一段落した可能性が出てきました。
また、「高市トレード」の一環として説明されることの多い株高も、短期的には“行き過ぎ”修正リスクが高くなっているようです。
11月は、2022年、2023年など、過去にも円安が円高へと大きく反転する局面がみられたように、ポジション調整が本格化しやすい時期です(図表9参照)。
その意味では、これまで「高市トレード」で説明されてきた円安が、この11月に反転する可能性も考えられます。したがって、11月の米ドル/円は「148~156円」と予想します。
今週の米ドル/円の予想レンジは「151~156円」
11月第1週となる今週は、本来であれば米雇用統計が発表される週ですが、米政府機能の一部停止(いわゆる「シャットダウン」)が長期化しており、経済指標発表のスケジュールが不規則な状況となっています。
それでも、「民間版NFP(非農業部門雇用者数)」であるADP統計やISM(米供給管理協会)の製造業および非製造業の景気指数などは発表される見通しですから、これらを手がかりに米景気動向を探ることになりそうです。
また、10月FOMC(米連邦公開市場委員会)を受けて、12月利下げ期待が後退した影響による米金利反発が続くかどうかも1つの焦点です。加えて、株価の動きにも注目したいと思います。
以上を踏まえ、今週の米ドル/円は「151~156円」と予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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