孫が来るたび増えていった「特別な出費」
「今度の日曜日、子どもたち連れて行ってもいい?」
長女の美香さん(仮名・46歳)から連絡が来ると、洋子さん(仮名・75歳)はスーパーへ買い物に出かけるのが恒例でした。
洋子さんは夫を8年前に亡くし、一人暮らし。年金は月約17万円、預貯金は約1,100万円あります。住宅ローンを完済したマンションに暮らしているため、生活に困窮しているわけではありません。
美香さん一家は車で1時間ほどのところに住み、孫は小学6年生と3年生です。
幼いころは、孫が遊びに来るだけで十分でした。一緒に折り紙をしたり、近所の公園へ行ったり。昼食にオムライスを作れば喜んで食べてくれました。
ところが成長するにつれ、過ごし方が変わっていきました。
「お昼、回転寿司がいい」
「映画観に行きたい」
そんな希望を聞けば、洋子さんはできる限りかなえていました。
映画を観たあとに外食をすれば、3人で1万円近くかかることもあります。誕生日には1万円前後のプレゼントを用意し、帰り際には「好きなものを買って」と3,000円ずつ渡していました。
娘から求められていたわけではありません。
「せっかく来てくれるんだから、楽しい日にしてあげたいと思っていたんです」
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』によると、60歳以上で「今後、優先的にお金を使いたいもの」として「子や孫のための支出(学費、こづかい等)」を挙げた人は25.8%でした。一方、同じ項目を「今後、節約したいもの」とした人も17.2%います。子や孫にお金を使いたい気持ちがある一方、老後の家計との兼ね合いを考える人もいることがうかがえます。
洋子さんにも、気になることがありました。
給湯器が古くなり、交換を勧められていました。エアコンも10年以上使っています。今後、医療や介護にどの程度お金が必要になるかも分かりません。
そんなある日、孫2人が泊まりに来ました。翌朝、洋子さんが「今日は家でお昼を食べようか」と話すと、小学6年生の孫が何気なく言いました。
「えー、おばあちゃんの家、つまんない」
洋子さんは、その言葉にショックを受けました。
