“高市円安”はどこまで戻る? 2013年アベノミクス以来の株高調整に注目…今週の予想レンジは〈150~155円〉【国際金融アナリストが解説】

11月11日~11月17日の「FX投資戦略」ポイント

“高市円安”はどこまで戻る? 2013年アベノミクス以来の株高調整に注目…今週の予想レンジは〈150~155円〉【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は、153円台を中心とした一進一退の展開に。とはいえ10月以降の「ドル高・円安」という流れそのものは継続しています。マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏は、こうした一連の流れについて、金融政策発表によって拡大した日米の金利差だけでは説明がつかない水準にあるといいます。そこで本記事では、円安・株高である“高市相場”の今後を予想するために役立つ判断材料と今週の予想レンジについてみていきましょう。

11月11日~11月17日の「FX投資戦略」ポイント

<ポイント>

・先週は株安に連れる形で何度か152円台まで米ドル安・円高に戻す動きも見られた。

・11月はポジション調整本格化でそれまでと逆に動く傾向あり。どこまで円高に戻すかは、2013年のアベノミクス株高以来の「上がり過ぎ」を記録した「高市株高」反転が鍵か。

・今週の米ドル/円予想レンジは150~155円。

先週の振り返り=株価急落局面で何度か152円台まで米ドル反落

日米金利差や日本の長期金利上昇で説明できない154円の円安

先週のドル/円相場は、153円台を中心に一進一退の展開となりました。前週、日米の金融政策発表を受けてドル高・円安が進行したものの、先週は上値の重さが目立ちました。日米の株価急落局面では何度か152円台まで円高に戻す場面も見られましたが、そのあとの株価反発を背景に、円高も限定的な動きにとどまりました(図表1参照)。

 

出所:マネックストレーダーFX
【図表1】米ドル/円の日足チャート(2025年9月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

10月末の金融政策発表では、米国が利下げに慎重な姿勢を示す一方、日銀が利上げを見送ったことで日米の金利差が拡大し、ドル/円は一時154円台まで上昇しました。ただ、10月以降のドル高・円安は、日米金利差の動きから大きくかい離しており、金利差だけでは説明がつかない水準にあります(図表2参照)。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
【図表2】米ドル/円と日米10年債利回り差(2025年9月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

その一因として指摘されたのが、日本の長期金利上昇でした(図表3参照)。財政リスクへの懸念から円売りが強まったと考えられますが、この長期金利上昇も10月半ば以降は一服しています。こうしたなかで、ドル高・円安の流れがこの先も続くのかが焦点となります。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
【図表3】米ドル/円と日本の長期金利(2025年9月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

それまでと逆に動きやすい11月=ポジション調整本格化の影響か

例年、11月の米ドル/円はそれまでと逆に動く傾向があります。とくに大きく米ドル高・円安に動くところとなった2022年以降、11月は逆に米ドル安・円高が繰り返されました(図表4参照)。

 

背景には、年末に向けたポジションの手じまいや、損益確定が本格化する影響があったと考えられます。

 

出所:マネックストレーダーFX
【図表4】米ドル/円の月足チャート(2022年~) 出所:マネックストレーダーFX

 

日米金利差の一段の拡大や日本の財政赤字懸念などから米ドル高・円安が年内も一段と広がる見通しが描けるのでしょうか。そうでなければ、少なくとも10月以降、高市新政権誕生をおもな手掛かりに拡大した米ドル買い・円売りポジションの損益確定で米ドル売り・円買いのことで、例年同様にこれまでとは逆の米ドル安・円高バイアスが強まる可能性もあるのではないでしょうか。

 

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