①ただ単に、住所などがわからないケース
住所などがわからない場合でも、相続人なら正当な事由があれば、ほかの相続人の戸籍や住所などを取れるケースがあります。ただ、相続人の数が多い、といった場合は専門家に依頼した方がいいでしょう。
相続手続きにおいて、戸籍謄本の取得は最初の第一歩です。法定相続人が兄弟姉妹や甥姪となる場合、亡くなった方の両親の出生からすべての戸籍が必要になるなど、かなり複雑になります。
また、相続手続きに必要な戸籍謄本の取得は時間のかかる作業です。古い戸籍も取得する必要がありますし、昔の戸籍は手書きのため解読するのも大変です。
②連絡や遺産分割協議に応じないケース
無反応な場合、第三者を介して連絡をすれば、遺産分割協議などに応じてもらえることもあります。そのような状況であれば、司法書士などを活用するのも選択肢です。
ただし、連絡が取れたとしても、そもそも当事者間で明らかな揉め事があるなど、話し合いで解決できない対立構造にある場合は、弁護士の方への依頼をお勧めしています。
③相続人を調べた結果、住所などが役所の権限で消されているケース
これは住民票の職権消除といって、市区町村の担当が住所に居住の実態がないと判断した場合、職権で住所を消す場合があり、これを職権消除といいます。
この場合、住民票がなく生活をしていることになるので、運転免許の更新や年金の受領、また就職なども困難な状況かと思われます。このため、このような状況で一般論では、社会生活を営むことが困難な状況にあると思います。
この場合は初めて失踪宣告というのを考えることがあります。
なぜ失踪宣告を検討するかというと、住民票は消されることがあっても、被相続人の戸籍自体を消すという制度は日本には存在しないからです。
戸籍でも、高齢者職権消除という制度があります。120歳以上の高齢者の戸籍を自治体の職権で消除(除籍の記載をする=法律上死亡したこととする)する制度です。
日本の最高齢者を超える、120年以上前に生まれた方を死亡していると判断できるため、120歳以上の方の戸籍は職権消除できることになっています。
ただ、高齢者消除はあくまでも行政上の便宜的な措置に過ぎないため、相続の開始原因にはなりません。
高齢者消除が行われると戸籍には死亡の記載がされますが、あくまでも「戸籍の整理」という扱いになるため、改めて死亡届、もしくは戸籍法89条の報告、もしくは失踪宣告によらなければ、相続登記における相続を示すことができません。
相続は時間との勝負、最短ルートで対処を
相続手続きは、発生から10カ月以内という時間の縛りがあります。そのような状況下で、連絡先がわからない、無視されて反応がもらえないという場合は、司法書士や弁護士に相談するのがスムーズです。
戸籍上は生存しているが、住民票は職権消除されている、つまり住民票が消されているような場合は、失踪宣告の検討をされたほうがいいでしょう。
*本件は個人情報保護のため、内容は一部改変を加えております。
近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士
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