(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症の人が相続人あるいは被相続人になる場合、法で定められた手続きやシステムに則るケースが必然的に多くなります。認知症によって判断能力が低下した人が相続に関わると、相続のハードルは確実に上がるだけでなく、“争続”などのトラブルに発展する恐れもあるのです。本記事では、奥田周年氏の著書『新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続』(ビジネス教育出版社)より、相続手続きに認知症の人が含まれる場合、実際に注意すべきポイントを紹介します。

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認知症の場合は財産確認に後見人の助けが必要

被相続人の財産には、土地や現金、預貯金などプラスの財産もあれば、住宅ローンや借金など相続人にとってマイナスになる財産もある場合があります。残念ながらプラスの財産のみをもらうことはできません。プラスの財産を引き継ぐなら、マイナスの財産も合わせて引き継ぐことになります。
 

すべて受け継ぐか、相続を放棄するか選べる

相続には、下記のように3つの方法があります。「単純承認」はプラスの財産もマイナスの財産もすべて無条件で引き継ぐもので、相続開始後なんの手続きもしなければ単純承認したものとみなされます。

「限定承認」は、被相続人の財産を調査しても把握しきれなかったり、相続放棄はしたくはないが、借金は背負いたくないといった場合に選べます。相続で得られるプラスの財産でマイナスの財産を弁済し、財産が残れば引き継げます。なお、プラスの財産を超える借金は、弁済する必要がありません。

この場合は、通常相続開始から3か月以内に、相続人全員が家庭裁判所に「限定承認」を申し立てます。

「相続放棄」は、プラスの財産よりマイナスが多いとき、相続したくないときに家庭裁判所に申し立てて放棄します。この場合は通常相続開始後3か月以内に家庭裁判所に「相続放棄」を申し立てます。相続人が複数人いても1人で放棄できますが、一度放棄すると取消しはできません。
 

認知症の相続人には後見人の選任を

では認知症の相続人がいる場合はどうなるでしょうか。親の借金があまりにも多く、放棄する以外に選択肢がない場合でも、相続放棄には、「意思能力」が求められます。そのため、「意思能力」が低下した人が放棄したい場合には、代わりに法律行為をする後見人を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。

なお、相続放棄をするためには、相続開始後3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。しかし、後見人選任の申立てをした場合は、選任された後見人が「被後見人(認知症の相続人)のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」となりますので、後見人が選任されてから3か月月以内に手続きをすればよいことになります。
 

『相続で引き継ぐ財産の種類』

【1.プラスの財産】
不動産や動産、預貯金や有価証券などの財産のほかに、債権や借地権、著作権など被相続人が所有していた権利も相続する。

■土地や建物などの不動産・借地権
■家具、自動車、宝石、美術品などの動産
■現金・預貯金・有価証券
■売掛金、貸付金などの債権
■著作権、商標権、特許権など知的財産権

【2.マイナスの財産】
借金や住宅ローンなど、被相続人が負っていた債務のほかに、連帯債務や損害賠償の債務も、マイナスの財産として相続する。

■住宅ローンなど借入金、買掛金
■連帯債務・保証債務、損害賠償債務
■光熱費などの未払分
■治療費や入院費などの未払分
■固定資産税などの税金

【3.祭祀財産】
先祖を祀るための仏壇や墓、家系図などの祭祀財産。

■仏壇、仏具、位牌、神棚
■墓地、墓石、遺骸、遺骨など


 

『相続の対象にならないもの』

上記の「1.プラスの財産」「2.マイナスの財産」「3.祭祀財産」の分類には含まれないもの

■香典
喪主への贈与(贈与税は非課税)とみなされ、葬儀費用の一部に充てられる。

■死亡退職金
遺族の生活保障のためのものとして固有の財産とされる。

■遺族年金
被相続人の加入年金の種類や遺族の条件によって異なるが、一定の条件を満たした遺族年金はその人固有の収入。

■生命保険金
受取人が配偶者や子どもなど自分(被相続人)以外にしていれば保険金はその人固有の財産。

 

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※本連載は、奥田周年氏の著書『新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続

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